2020年2月15日から17日まで、高志館高校生がつくった野菜や味噌を使って、佐賀市中心市街地の10店舗がそれぞれのオリジナルメニューを提供しました。
「佐賀市の街なか一帯で佐賀城下ひなまつりが開かれています(2020年は2月11日から3月22日※)。この時期、よく尋ねられるのが『周辺でランチを食べられるお店』です。高志館高校生がおいしい野菜を作っていると聞いたので、街なかの飲食店とコラボすればいいメニューができるのではと実施しました」と話すのは、今回の企画を発案したNPO法人まちづくり機構ユマニテさがの古賀秀幸さん。 ※徴古館は3月31日まで
コラボメニューを販売することは、高校の産品やお店のPRにもなり、街なかのにぎわいに一役買いそうですね。
実際はどうだったのでしょうか?
今回料理を考え、提供した各店舗に取材しました。
カフェトミタ
「スティックセニョールとミディトマト、オイルサーディンのペペロンチーノ」「ミディトマトのグリルとスティックセニョールのトマトパスタ」2種を販売
オーナー:富田貴志さん
富田貴志さん -
生パスタ料理でそれぞれ2種の野菜を使用。スティックセニョールは火の通りが早く、グリーンが鮮やかで使いやすかったです。トマトパスタはミディトマトをクラッシュしてソースを作りました。上にのせるグリルドトマトは今回のミディトマトが大きさの面でもぴったりでした。
2月は例年お客様が少なめですが、今回の企画はSNSなどでの発信やほかの季節メニューも同時に打ち出したことで来店のきっかけになったと言います。新規のお客様も特別メニューを求めて来店し、いつもより男性の姿が多いのも印象的だったようです。
住所 | 〒840-0826 佐賀県佐賀市白山1丁目2-22 |
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定休日 | 木曜 |
電話 | 0952-37-7782 |
トネリコカフェ
「High Ambition~味噌マヨ野菜チーズトースト~」を販売
岡野朋子さん
羽根真由美さん-
厚切りのパンに、味噌マヨネーズを塗りチーズをのせてトースト。味噌はまろやかでおいしかったです。乳製品ともよくマッチすることがわかりました。スティックセニョールの花の部分をワンポイントに。切った際、シャキッとして茎まで食べられました。
最終日、インターネットでこのメニューの情報を発信すると、ランチタイムはほぼ全員のお客様が注文されたとのこと。高校生も一緒にその場にいられたらよかった、次回もまたこんな企画があれば参加したいと話していました。
住所 | 〒840-0826 佐賀県佐賀市白山2丁目5−19 |
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定休日 | 不定休 |
電話 | 090-1978-0993 |
白山ドリア・クリム
「高志館ドリア」を販売
神代貴子さん -
なるべく地元の食材を使いたいので、今回、高志館高校の野菜や味噌を使えると聞いて喜んで参加しました。餅と味噌を使ったドリアは、初めて食べたというご感想もあり、目先を変えた一品になりました。スティックセニョールは味がしっかりとしていましたね。
日替わりでさまざまなドリアを提供している専門店。土曜日の一日限定で、4種類のドリアの一つのメニューとして掲示し、10食以上の注文があったそうです。高校生にもぜひ食べてもらいたかった、と神代さん。野菜はどれもおいしく、また購入したいとのことです。
住所 | 〒840-0826 佐賀県佐賀市白山2丁目5−17 |
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定休日 | 日曜・月曜 |
電話 | 0952-26-4888 |
イタリア酒場 キングキッチン
「フレッシュトマトとスティックセニョールのペペロンチーノ」を販売
江口裕太さん -
高校生が作ったミディトマトの甘みとスティックセニョールのシャキシャキとした食感を生かせるよう工夫しました。いつものランチのお客様が、ふだんとは違ったメニューに興味を持たれて注文してくださいました。特にトマトのおいしさはポイントが高いですね。(お話はランチスタッフの江口圭さん)
8種類から選べるパスタランチを実施しているキングキッチンは、3種の野菜を彩りよく使ったペペロンチーノを提供。食材そのものを先に知ったうえで参加できたらもっとよいものが提供できそう、と作る方ならではの意見をお聞きすることができました。
住所 | 〒840-0826 佐賀県佐賀市白山2丁目7−1 |
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定休日 | なし |
電話 | 050-5303-7469 |
MOMs' Bagel
「海苔みそレンコン」を販売
岩野桃子さん
佐伯華奈さん-
味噌を使ったベーグルはもともと考案中だったところに今回の食材提供のお話が来て、タイミングよく参加しました。生地の味をじゃましないくらいの塩加減でよかったです。佐賀の食材を使うという当店のコンセプトにも合うので、またコラボできればいいですね。
和の食材との大胆な組み合わせは意外性がありますが、試食も提供し、おいしいと好評だったようです。このような企画は、お互いにメリットがある、と岩野さん。季節を変えて別の高志館野菜を使ったベーグルも作ることにも意欲的でした。
住所 | 〒840-0824 佐賀県佐賀市呉服元町2−22 |
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定休日 | 土曜・日曜・月曜 |
電話 | 050-6873-1607 |
カフェ・ブラッサンス
「高き志し生むそば粉のガレット」を販売
園田寛さん -
3種の野菜をそば粉のガレットに使用。スティックセニョールは素材を丸ごと味わえるよう切らずに1本使いで、歯ざわりもよかったです。『このトマトおいしいね』という声も頂きました。ベビーリーフは青い野菜を食べているという感じがあったのでは。
今回、ガレットという洋食に日本の高校生が作る野菜をのせることで、彼らに世界へと羽ばたいてほしい、という思いも込めてネーミングを考案したそうです。生産する野菜を店内で販売するなどコラボができたらもっとよかったと話していました。
住所 | 〒840-0824 佐賀県佐賀市呉服元町2−24 |
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定休日 | 水曜・日曜 |
電話 | 0952-97-9378 |
かんじんかなめ
「鉄板プレートランチ」を販売
百崎学さん -
ベビーリーフとトマトをサラダに、スティックセニョールはハンバーグなどの付け合わせに添えました。当初天ぷらの予定でしたが、他とのバランスを考えボイルに変えました。野菜はきれいに育ててあり、見映えもいいですね。味も料理のしやすさも満足です。
これまでは夜のみの営業でしたが、2020年2月からランチをスタート。メインを2品選ぶ鉄板焼に1本添えたスティックセニョールは存在感があります。初日の土曜日には10以上の注文を受け、今後も企画があるなら検討したいとのことです。
住所 | 〒840-0824 佐賀県佐賀市呉服元町2−29 |
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定休日 | 月曜 |
電話 | 0952-25-5684 |
シアター・シエマ
「鶏のみそ照り焼きプレート」「鶏のみそ照り焼きベーグル」を販売
池田彩花さん -
トマトは切っても崩れることなくみずみずしく、またスティックセニョールは初めて使いましたが、ブロッコリーのようにバラバラにならず、とにかく野菜が新鮮でおいしかったです。鶏の照り焼きやドレッシングに使った味噌も塩分控えめで料理に合いました。(お話はカフェスタッフの江頭紗綾子さん)
ランチプレートのほか、映画館の席で食べることも考えベーグルを用意したそうです。減塩の味噌を使ったみそだれは好評で、作り方を尋ねたお客様もいらっしゃるとか。特定の食材を使うこのような企画は面白い、次は期間を少し延ばして開催できれば、と江頭さん。
住所 | 〒840-0831 佐賀県佐賀市松原2丁目14−16 |
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電話 | 0952-27-5116 |
cosa
「スティックセニョールのキッシュ」を販売
富永茂樹さん -
デリカメニューとしてスティックセニョールをメインの具材としたキッシュを作りました。塩で下味をつけながら茹でたものを使用しましたが、新鮮でおいしく、料理にも使いやすい素材でした。期間中、高校生たちも参加してくれたら、もっとにぎわったでしょうね。
富永さんはイタリア料理店「IL SORRRISO」のオーナーシェフでもあり、そこで提供するキッシュを1階のデリカテッセンにて販売。佐賀の野菜も扱っているので、今後、高校生の産品を並べるなどコラボが期待できそうです。
住所 | 〒840-0825 佐賀県佐賀市中央本町2−22 |
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電話 | 0952-37-9929 |
「ベビーリーフとスティックセニョールの生ハムピッツァ」を販売ピッツェリア ダ・ジーノ 白山店
沖津健さん -
参加した理由は『佐賀をどげんかせんといかん』の気持ちからでした。新鮮な野菜を使い、サラダピッツァのような形で提供。白山店のスタッフと試食した段階では使っていなかった味噌を最終的に足したら味のアクセントになり、メニューが完成しました。
まちおこしに一生懸命なユマニテさんとなら一緒に何かできると思い参加したという沖津さん。人が街を巡回する企画で話題づくりになったようです。連携に積極的でありながら、お店も作り手たちも、それぞれがレベルアップしていく必要性を強調していました。
住所 | 〒840-0826 佐賀県佐賀市白山2丁目1−24 |
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定休日 | 火曜・木曜 |
電話 | 0952-37-1923 |
【まとめ】
今回参加した全てのお店の方が「また参加したい」と答えました。また、野菜や味噌の食材そのものに対しては、プロの料理人から見ても満足だという評価がほとんどで、高校生としても自信につながったと思います。「食材を使いたい」という声も多かったです。文化祭での販売のほか、収穫の時期には校内販売会も実施されています。
高校の畑の入り口には「生産物販売会◯月◯日」の掲示板で事前告知もあるので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
反響については「全体的によかった」「提供数は日によって差はあったが、集客につながった」と感想がある一方、街のにぎわいとしては、「悪天候もありお客様の足が遠のいてしまった」というご意見も。
街を盛り上げたいとがんばる店主やスタッフさんたちは、多くの方が「高校生と一緒に盛り上げられたら」と望んでいました。
この産学官連携は「ユマニテさが」×「高校生の産品」×「料理をつくって提供するお店」の構図で行われました。今後、限られた時間の中でそれぞれが意見を交わしたり、交流したりする機会をもつことで、よりよい企画ができそうです。
「街を盛り上げる」「学びの場となる」「お店に来てもらう」のそれぞれの目的達成にも通じるコラボがこれからも生まれていってほしいですね。
産学官連携! 高校生が作る野菜や味噌で飲食店が特別メニューを提供【高志館高校編】
ライター高橋香歩