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武雄市西川登竹細工・大阪より移住し職人後継者不足のヒカリに 新道 友月さん

「私は生涯、何かを作りつづける職人になる」
数ある伝統工芸の中から「竹細工」を選んだ新道友月(しんどうゆづき)さん。

なぜ、後継者不足に悩む武雄市の伝統「西川登竹細工」の職人を目指すことになったのか─。
その決意の経緯や、これから目指す未来についてお話を伺ってきました。

西川登竹細工との出会い

きっかけは友月さんが高校生の頃、とある伝統工芸の職人が数秒だけ映ったCMを偶然見たことでした。友月さんはこの時、「自分は将来、手しごとで生きていく人間だ」と直感したといいます。

「学べる場所はないか」と探すうち、京都に伝統工芸が学べる専門学校があることを知り、21歳の時に竹細工専攻へ入学。3年間で知識と技術を学びました。

そして、卒業を控えた頃、友月さんはとあるインターンシップに参加します。それが、現在の職場である武雄市西川登町にある「西川登竹細工」でした。

佐賀県が伝統的地場産品に指定する「西川登竹細工」は、深刻な職人の後継者不足という課題に直面していました。その貴重な伝統技術を途絶えさせず、未来へ確実に残していくため、産地では後継者育成を主たる目的としたインターンシップを実施していたのです。

実際に現場を体験し、京都で学んでいたものとは異なる道具や、厳しい職人さんの話を聞く中で、友月さんは強く心を動かされました。

「京都には竹細工を作れる職人が沢山いる。でも西川登竹細工は違う。自分がここで技術を身につければ、この地域の技術を残すことができる。この貴重な技術を絶やしてはいけない、私が残さなければ

その強い思いから、友月さんは武雄市への移住を決意し、西川登竹細工の職人を目指すことになったのです。

西川登竹細工の職人はどうして減ってしまったのか

全盛期であった明治時代、西川登町には500名以上の竹細工職人がいたといわれています。
しかし、プラスチック製品の普及により、かつて手頃な日用品として親しまれていた竹細工は次第に需要が減少。さらに近年の物価高騰が追い打ちをかけ、もともと安価だった竹細工は価格を上げることもできず、収入が成り立たなくなる職人が相次ぎました。

その結果、多くの竹細工職人が廃業するなか、西川登竹細工は現在、栗山商店の栗山ご夫妻を含む数名のみで作られています。

想像と工夫、これまでとは違う作品づくり

京都で竹細工を学んでいた頃は、使いやすさはもちろん、編みやすさや美しさが重視され、丁寧な暮らしをする人たちや贈答用に送られる「工芸品」としての竹細工を作っていました。

一方、西川登竹細工は、多少雑に扱っても30年はしっかり使える、見た目よりも丈夫さを重視した日常生活の中で使う「民芸品」。

これは友月さんにとって、これまでとは違う視点から見る竹細工でした。

お客様がどのように使うかを想像しながら、「どこが傷みやすいか」「どうすれば使いにくさが出ないか」といった点を考え、補強や構造の工夫も欠かせません。見た目だけでなく、使いやすさまで踏み込んで改良を重ねているそうです。

思うようにいかないことも多く、製作中に自分へ「喝」を入れる場面もあるといいますが、その積み重ねが作品づくりの力になっていると話してくれました。

これからも続く発信に、込められた思いと願い

竹細工の職人が、もう一度増えていってほしい。でも全盛期のような賑わいには戻らないかもしれない・・・」

それでも、職人の人口を少しでも取り戻すために、動ける人が広報活動をして発信していく必要があると、友月さんは感じています。その発信を日本に向けて行うのか、あるいは海外に向けるべきなのか、今まさに考えているところだといいます。
「作り手ブームがいつか訪れてほしい」そんな願いも口にしていました。

一方で、製作と広報の両立は簡単ではありません。製作に集中している間は外に出て発信できず、広報に時間を割けば製作ができない。
さらに、竹は自然素材のため、作りやすい時期・作りにくい時期があり、自分の思い通りにスケジュールを組めないもどかしさもあると語ってくれました。

武雄に移住して2年半、厳しい修練の世界に身を置きながらも、「竹細工を作ることが何より楽しい」と語る友月さん。この伝統技術が絶えることのないよう、今後もその作品と精神を国内外へと広く届け続けます。
伝統ある西川登竹細工の未来を編む友月さんの今後の活躍が期待されます。

最後に

友月さんとの出会いは、一昨年開催されたあるミスコンテストでした。
そこで初めて、彼女が竹細工の職人を目指して武雄へ移住したことを知り、厳しい修行とコンテストの準備を両立しながら懸命に努力する姿に強く心を打たれました。

コンテスト終了後、「彼女のことをもっと知りたい」と思い、直接お会いして、竹細工の世界に入るまでの経緯や、深刻な職人不足の現状について伺いました。今回の取材は、その実情を読者の皆さまにも伝えたいという思いから実現したものです。

西川登竹細工で作られる作品は、年月とともに竹の色が変化していくのが特徴です。使い始めは青々とした新竹の緑色ですが、使い続けるほどに味わい深い茶色へと変化していきます。
これまで竹細工を生活の中で使ったことがなかった私も、お話を伺いその魅力に触れたことで「暮らしの中に取り入れてみたい」と思いました。
ぜひ、みなさんも手にとって西川登竹細工の魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

店舗名 栗山商店
住所 佐賀県武雄市西川登町大字神六28436-3
営業時間 9:00〜18:00
定休日 不定休
電話番号 0954-28-2178
駐車場 あり
公式SNS Instagram:@s.y__bamboo
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エステティシャン&カメラマン

笹川 恵実

有田町在住、エステティシャンとカメラマンの二足の草鞋をしております。温泉・旅行LOVE。そして飛行機が好きなので飛行機を見に空港に...

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