定期船『ゆうしょう』で呼子港から約40分、名護屋港から約25分。唐津市鎮西町の馬渡島は県内一大きな離島です。
土日になれば多くの釣り人が訪れるこの島は、緑豊かで絶景スポットが多く、ハイキングするのもおすすめ。江戸時代には唐津藩の馬の放牧場があり、島の海岸部では仏教が、内奥部ではカトリック信仰が生きているなど歴史のロマンに満ちています。
この馬渡島でおもしろい動きがあることをご存じですか?
今回ご紹介するのは「馬渡島を元気にしたい。他の離島にとって馬渡島がひとつのモデルになれたら」と語る横山吉和さん。
長年、公務員として漁業に関わってきた横山さん。漁業が盛んな玄界灘の離島の中でも、もともとのポテンシャルが高い馬渡島を盛り上げたいと考えました。奥様のふるさとであるこの地でカフェ・民宿を開いたことを皮切りに、さまざまなチャレンジを重ねています。
横山さんの活動を中心に、馬渡島に関する動きを紹介します。
馬渡島の魅力を満喫できる、一棟貸しの宿
『カフェ&民宿まだらや』は1日1組限定で一棟貸しするスタイル。屋内での夕食・朝食はもちろん、庭でバーベキューを楽しんでテントで寝泊まりすることもできます。
自分好みのスタイルで宿泊できるのが魅力です。予約すればランチの提供も可能。島内でランチが食べられる貴重なスポットです!
波の音を聞きながら眠るのは心地いいですよ~。
釣り道具も貸し出しているので、手ぶらで釣りを楽しめます。『まだらや』のすぐ前は絶好の釣りスポット。"馬渡島では釣り糸を垂らせば魚が釣れる"といわれるほどの釣りやすさをぜひご体感あれ!
釣れた魚は『まだらや』内で調理してもらっても良し、バーベキューの具に仲間入りさせても良しです。
さらに『まだらや』では軽トラック・軽ワゴン・スクーター・自転車のレンタルも行っています!公共交通機関やタクシーのない島内を自由自在に移動できますよ。
また、ドローン撮影『空から馬渡島』など楽しみ方が盛りだくさん!
横山さんは唐津市海岸通の『佐賀ドローンステーション(以下、佐賀DS)』のインストラクターでもあります。所属する佐賀DSでは、佐賀県内の小学6年生を対象にドローンプログラミングを実施しています。尚、馬渡島でも8月30日に実施する予定でしたがコロナの影響で延期になりました。
「観光や物流、人命救助、ソーラーパネルの点検などなど、ドローンの可能性は無限大。ドローンを安全に活用することで未来は大きく開ける」と佐賀DSでの活動について、横山さんは熱く語ります。
幻の果実からプロジェクト始動!人と人のつながりが実を結ぶ
ここで横山さんも関わる『馬渡島ゲンコウ復活プロジェクト』を紹介します。
佐賀県立唐津西高等学校の生徒たちの発案で始動したこのプロジェクト、共鳴した大人たちも共に汗を流しています。横山さんが副会長を務める『未来ギフト実行委員会(代表/宮丸佳奈子さん)』が、唐津西高校の生徒たちと島民の牧山友好さん、富田農園(唐津市浜玉町平原)で希少フルーツと共にゲンコウを育てる富田秀俊さんを縁結びし、プロジェクトが始動しました。
ゲンコウは古くから馬渡島に自生した香酸柑橘類。今では数が減って『幻の果実』と呼ばれています。写真はまだ青い状態の果実ですが、やがて黄色く色づきます。
取材時(8月中旬)のゲンコウは『すみかん』と呼ばれる、酸度の高いみかん。かじってみると確かに酸っぱく、そしてとても硬い......生で食べるのは厳しい味です。
しかし越年すると糖度が上がり、待つほどに甘味が増してくるのです。「露地みかんは糖度が8度あればよし」といわれるそうですが、12月のゲンコウは9.7度、4・5月になるとハウスミカンと同程度の12.5度になります。待つほどに甘くなる、とても珍しい柑橘類なのです! 4・5月の果実をかじると、最初は酸味に驚くものの3秒待つうちに酸味がすっと消え、甘味が口いっぱいに広がる。個性的な果実です。
そして、ゲンコウを馬渡島の特産品として育てていこうというのが「馬渡島ゲンコウ復活プロジェクト」なのです。島内でわずかに自生しているものの、栽培はほとんどされていなかったゲンコウ。プロジェクトは栽培者を探すことからスタートしました。
家の近くにゲンコウの木が生えている大工の牧山さんが畑の提供・管理をしていただくこととなり、富田さんが苗木を提供しました。
そもそも富田さんは15年以上前にゲンコウを知り、島の人から枝をもらって農園でのゲンコウ栽培をスタートさせています。牧山さんに苗木を提供し、栽培方法を伝えることで「馬渡島に少しでも恩返ししたい」と語ります。
唐津西高校写真部の生徒と『未来ギフト実行委員会』が除草作業を手伝うなど協力しつつ、プロジェクトは進行しています。
「いずれ馬渡島で生産したゲンコウを馬渡島の産業に繋げたい!漁業と農業が豊かになることで馬渡島が活性化することを切に願うばかりです」と横山さん。
このゲンコウに着目した『未来ギフト実行委員会』は、「馬渡島にしか自生しない」といわれるゲンコウを、島の活性化に繋げるべくプロデュースし、『げんこう酒ぽん酢』が誕生しました。
『げんこう酒ぽん酢』は、富田さんが育てたゲンコウと、米と水・技にこだわる唐津の鳴滝酒造の日本酒『聚楽太閤』を合わせ、ミシュラン2つ星を獲得した唐津の名店『鮨処つく田』の松尾雄二さん監修のもと、横山さんが製造しています。『げんこう酒ぽん酢』で使用する果実は、もちろん十分に糖度の上がった一番良い状態のものです!
ひと口なめてみると、他のぽん酢では味わったことのないコクが口の中に広がります。きりっとした酸味とまろやかな甘味が調和して、くどさは一切ないのに余韻が残るおいしさ。白身魚の料理やサラダ・ステーキ・鍋料理をはじめ、アイデア次第でいろんな使い方ができそう!
パッケージのロゴはゲンコウをベースにデザインされています。よく見ると、果肉の部分に馬渡島を表すモチーフが潜んでいます!馬渡島に生息する野生のヤギ・カトリック天主堂・海の幸など、馬渡島の魅力がいっぱい!
こちらは唐津市在住の切り絵デザイナー・谷上ひかるさんの作品です。
島内でのゲンコウ生産量が増え、加工所が決まるなどすれば馬渡島の新しい産業になります。今後の展開が楽しみです。
"熱い漢(おとこ)"と呼ばれる横山さんの背中。まだらやオリジナルTシャツです。こちらのロゴも谷上ひかるさんの作品です。
馬渡島への愛情は、少しずつカタチになっています。
施設情報
店舗名 | カフェ&民宿まだらや |
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住所 | 〒847-0405 佐賀県唐津市鎮西町馬渡島141-4 |
公式サイト | https://home.tsuku2.jp/storeDetail.php?scd=0000108382 |
https://www.facebook.com/%E3%81%BE%E3%81%A0% | |
詳細 |
【電話番号】090-5932-1510 【OPEN】カフェ 11:00~22:00 【宿泊人数】最大9名 【料金】 【CLOSE】不定休 |
地図 |
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『げんこう酒ぽん酢』を購入できる店舗
店舗名 | セントラルキッチン つばき家(や) |
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住所 | 〒847-0873 佐賀県唐津市海岸通7182-217「唐津市水産会館」1F |
電話番号 | 0955-74-3633 |
公式サイト | http://tsubaki218.com/sp/sk.html |
店舗名 | 唐津市ふるさと会館アルピノ |
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住所 | 〒847-0043 佐賀県唐津市新興町2881-1 |
電話番号 | 0955-75-5155 |
公式サイト | https://www.arpino-karatsu.jp/ |
※「カフェ&民宿まだらや」でも購入できます。
通販サイトでの購入
サイト名 | おすそわけマーケットプレイス ツクツク!! |
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サイトURL | https://ec.tsuku2.jp/ |
サイト名 | 未来ギフト唐津 |
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サイトURL | https://home.tsuku2.jp/storeDetail.php?scd=0000109166 |