こんにちわ。イラストレーターのナガシオです。
今回の舞台となる島は「加部島」。
第1回でご紹介した佐賀県の7つの「離島」...ではなく、呼子大橋で渡ることのできる島です。
呼子を一望できる橋からの眺めを楽しみながら、海辺に聳える田島神社内をぜひ歩いてみましょう!
大昔から港に佇む、航海安全の神社
田島神社の創建は、定かではないですが弥生時代後期といわれています。それほど古くからある神社とは驚きですね。
田島神社の御祭神は田心姫尊(たごりひめのみこと)、市杵島姫尊(いちきしまひめのみこと)、たき津姫尊(たきつひめのみこと)。みなさん、女性の神さまです。さすが海の神社。
嵐にあった遣唐使のために航海安全を一心に祈ったところ、無事に帰って来られたというお話も。
駐車場は神社の前にあります。
鳥居をくぐると、静かな境内。波の音や鳥の声が聞こえてきます。
左には社務所。お守りなどもあります。
少し先をゆくと手前と奥の方に、鳥居が二基、見えてきます。
こちらは「頼光(らいこう)鳥居」という肥前鳥居。
一千年以上も前のもので、佐賀県最古なんですって。一千年...!
そもそも、肥前鳥居ってなんぞや?と思って調べてみましたが、笠木、鳥木、柱、貫が三本継ぎなんですって。ちょっとした積み木っぽさが、なんだかかわいいですよね。
さて。この階段を登らず、もう少しまっすぐ進みますと、もう一基の鳥居があります。
鳥居の前に広がる海。
透き通る青。石垣もものすごくかっこいいです。
かつて漁師たちは、神社の前に船をつけ、ここから陸に上がり神社にお参りしたのでしょうか。その光景を想像するとなんだかわくわくします。
海から神社にお参りする漁師さんの気持ちになりながら、鳥居を見上げてみたり。
ちなみにこちらの鳥居には明治と書いてありますね...。
さて、階段を登っていきます。
登る途中、何度も振り返りたくなる景色です。
素朴なつくりながら厳かな雰囲気の木造。
入り口の吽形像...これは吽形像なのか...?なんだかかわいい。
こちらもきれいな石畳。
門をくぐると、正面に本殿、左手に佐與姫神社。右手に藤棚?、力石、歌碑などがあります。
佐與姫神社
かわいい色彩の佐與姫神社。
唐津では有名な佐與姫。朝鮮出兵した大伴狭手彦(おおとものさでひこ)との別れを悲しむあまり七日七晩泣き続け、ついに石になったという悲恋の伝説ですね。
縁結び、夫婦円満のご利益があり、唐津藩のお姫様がお忍びで参拝されていたそうですよ。ロマンティック。
力石
こちらは力石。豊臣秀吉が配下武将にこれを持ち上げさせた数で力量測りしてたんですって。
1回でも持ち上がる気がしない...。
本殿へ!
いざ、正面の石段を登って本殿へまいります。
本殿もまた無垢な木造で、自然との一体感があります。
鮮やかな緑と美しい木漏れ日。立っているだけで体の中を風が吹き抜けるような感覚になります。
さて、お参りをしたら左に進み、小さな階段を下っていきましょう。
すると...
おや、小さな看板が。
看板には「太閤石」と書かれています。看板が示す方へ行ってみましょう。
太閤石
おっと...かなり森へ入っていきます。ちょっとドキドキ。
5分ほど山道を進んでいくと、ありました。これが「太閤石」!
こちらの太閤石は、文禄の役(言わずと知れた豊臣秀吉の朝鮮出兵ですね)に際して、当時の神主が17日間にも及ぶ祈祷を行ったものの、満願になっても割れず。
秀吉が自ら神社にやって来て槍を突き立てると、内側から割れた!という伝説があるんだそうです。
神主の祈祷では17日間も断食だったとか。割れてあげてほしかった...。
御崎神社
オーラのある大きな太閤石に一礼し、来た道をさくさくと戻ります。
進むと現れるのは、御崎神社。
海上・旅行安全の御崎神社。
文禄の役で、眞榊と神鏡を船首に祀った軍船・小鷹丸が7度の往復航海に耐えたので、神恩感謝のために船と共に奉納されたそうです。
旅行に行く方、ぜひしっかりとお参りを!
御崎神社を抜けて
御崎神社を抜けると、佐與姫神社の裏に出ます。
立派な石壁。
みなさま、ここまでお疲れさまでした。各所、お参りを終えたら階段を下って神社を後に。
ここからも海がとても美しく見えます。きれいな青だ...。
てくてくと降りてきた階段をふと見上げていたら...おや!
石灯篭に、「中尾甚六 小川組」の文字が。
中尾甚六の文字。
中尾甚六といえば、呼子に住む人なら言わずと知れた、富豪の鯨組主です。
そういえば、加部島には鯨の解剖場があったはず...。
中尾甚六をはじめ、当時の人たちの田島神社への信仰が感じ取れて、なんだか更に光景が思い浮かべられるような気がしますね。
ぜひ、あなたも田島神社へ。
佐與姫神社、御崎神社、太閤石...などなど、田島神社は文禄の役ゆかりの神社です。
滞陣した豊臣秀吉にまつわる伝説も多く残っており、歴史をめいっぱい感じられる場所間違いなし。
波の音を聴きながら、海風に肌を撫でてもらいながら。
朝鮮出兵の時代、ひいては加部島・呼子で今も海と共に生きる人たちへ、あなたも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。