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整体院を起業した若き挑戦者が見つめるものは 高柳拓弥さん

「夢を実現する人は...」

紺色のスクラブを身にまとった29歳の男性が、笑顔を浮かべながら言葉を続けます。

自分の想いを口に出し、人に話す。そうやって他人と共有することで、自分の気持ちに責任を持てるようになり、夢に近づく言動が取れるんです

物腰柔らかなその精悍な顔つきに溢れる自信。ここは確かに、志高き青年が幾多の試練と挑戦の末に築いてきた「夢の居場所」そのものです。

理想を体現した整体院を立ち上げた

高柳拓弥さん。1996125日生まれ。神埼市出身。
鍼灸師、柔道整復師、上田式認定美容鍼灸師の3つの資格を持ち、吉野ヶ里町のレンタルスペース「Liv Style」にて「たかやなぎ鍼灸整体」を営んでいます。

8月18日にオープンしたばかりのこの整体院の内観は、壁に敷き詰められた木目の美しさが特徴的で、落ち着いた雰囲気の中に施術台が置かれています。完全予約制で、来院するひとりひとりに誠実に向き合い、それぞれの症状に合わせた「オーダーメイド施術」がモットーです。

「東洋医学の理論に基づき、お客さんの不調をケアしています」

と言う高柳さんの方針に沿うかのように、院内の一角には和洋折衷のくつろぎスペースがあります。

入居前から設えてあったそうで

「施術を終えた方が、ここでリラックスしながら軽くお茶を一服されます。偶然でしたが、和の空間があるのは当院のコンセプトとハマりましたね」

はにかみつつ語る高柳さんに、自らの理想的な整体院を開業するに至った、これまでの歩みを伺ってみました。

甲子園を目指した野球少年に芽生えた「志」

外で遊ぶことが大好きだった高柳さんは、小学生の時に野球好きが高じて地元の少年野球チームに入ります。

「プロ野球選手になりたい、どこにでもいる野球少年でした。好きなプロ野球チームはもちろんホークスでしたが、個人では巨人軍の高橋由伸選手に憧れていたので、外野手になりました」

小、中学と野球に打ち込んだ少年は、自ずと「甲子園」を夢見るようになります。三養基高校に進学し、夢に向かって厳しい練習に励んでいましたが...

 「右肩を故障してしまったんです。治療に明け暮れ野球に没頭できず、結局甲子園出場は果たせませんでした」

 挫折を味わった高柳さんでしたが、ここで、新たな道が開けます。

「ケガをしたことがきっかけで、スポーツトレーナーに興味を抱くようになったんです。みんなと違うことをやってみたいという好奇心もありましたね」 

野球選手としては芽が出なかったものの、辛い経験を通して、人の体をケアする仕事に目が向くようになった高柳さん。進路が明確になった瞬間でした。

人を治す喜びが、方向性を定めた

高校を卒業した高柳さんは、2014年に九州医療専門学校に進学。

授業では内科、外科、生理学と、医療の基本を徹底的に叩き込まれました。体の根本的な仕組みから多様な治療法まで幅広く知識を得ていく中で、高柳さんはひとつの気づきに辿り着きます。

私は性格的に、『人に尽くすのが好き』なのだとわかりました。実習を経て、困っている人を助けることに喜びを感じたのです。スポーツに限定せず、辛い思いをしている人の力になりたいとの使命感が芽生えました」

さらに、局所的な症状を訴える患者に対して症状の原因となるものに着目し、体全体をケアしながら改善させる東洋医学の理念に魅力を感じるようになります。東洋医学をルーツに持つ国家資格である鍼灸師と柔道整復師の資格を得て、3年で専門学校を卒業しました。

2017年に神埼市の整骨院で働き始めまた高柳さんは、ひたすら治療に向き合う日々を過ごします。そして改めて思い知らされたのは、コミュニケーションの重要性でした。

「どれだけ科学が発達しても、人が人を治すという原則は変わりません。治りさえすればいい、ではなく、ひとりひとりの患者さんと真摯に接すること。どれだけ技術があっても、患者さんとの信頼関係次第で結果が変わってしまうことを、経験を通して実感しました

重い課題と対峙しながら整骨院で8年間勤務した高柳さんは、院長としてリーダー的立場も経験。院の運営や広報にも携わったことで、「独立」の想いが芽生えていきます。

人生を成功に導くためにあえて「失敗」する

「もっと時間をかけてひとりひとりのお客さんと真剣に向き合い、自分が培ってきた技術と経験を余すことなく提供したい」

新たな目標に向かう決意が固まった高柳さんは、20256月に退職。すぐに物件探しに入ります。

「すると7月に、『Liv Style』の管理人の方と繋がり、あれよあれよという間に入居が決まりました」

こうして29歳にして独立起業を果たした高柳さん。ここまでは順風満帆なキャリア形成に思えたのですが、高柳さんは意外な言葉を口にしました。

「一人の治療者として、また人の上に立つものとして、私も何度も失敗してきました。幾度となく叱られたし、迷惑もかけた。でもそういったつまづきは、全ていい教訓となって、今の自分に活きています」

今のご自分があるのは、失敗の積み重ねの結果であると?

「はい。失敗とは怖いもの。でも、失敗しないと得られぬ経験はたくさんあり、仕事をするうえで財産として蓄積されます

 とりあえずやってみる、の精神ですね。

「これからも、あえて失敗しにいこう、くらいの気持ちで挑戦していきます。うまくいかなければ修正すればいいですし。それこそが、成功の何よりの近道だと、私は信じています」

夢を目指す若者へのメッセージ

試行錯誤の末に整体院として独立起業する夢を実現した高柳さんに、今後の抱負を伺いました。

「今はとにかく地盤固めの時。自分のスタイルを貫き、お客さんの信頼を勝ち取る。地域に愛されながら、将来的には規模を大きくしたい」

最後に、夢を追いかけている若い人たちにアドバイスを。

「最初から完璧な人はいません。仕事であれ学業であれ、今いる場所はすなわち『修行の場』です。そして時間はあっという間に過ぎるので、11日が宝。日々人間力を磨いた先に、おのずと自分が目指す未来に出会えると思います」 

屈託のない爽やかな笑顔で語る高柳さんは、培ってきた技術と経験を携えながら、今日も治療と向き合っています。

店名 たかやなぎ鍼灸整体
代表者 高柳拓弥
住所 佐賀県神埼郡吉野ヶ里町大曲3428-18 Liv Style 1F
営業時間 完全予約制
【平日】9:00 〜 19:00【土曜】9:00 〜 15:00
定休日 日、祝日
公式SNS Instagram:@takayanagi_shinkyuu_seitai
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ライター

オカモト

フリーの物書き。佐賀市在住。これまで、ネットメディア記者、取材ライター、ウェブライター、コラムニスト、ブロガー、YouTubeシナ...

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