「地方で起こるムーブメントや創作活動を世界に届けたい」「地域で活躍する方を応援したい」。
佐賀映画制作プロジェクト『つ』は、地域の人・魅力を発掘し、発信するもの。
佐賀でしか撮り得ない風景、空気、人をふんだんに取り込み、佐賀県の魅力を作品を通じて世界に届ける映画制作プロジェクトです。
学生スタッフ活動日誌とは
2月後半から3月はじめにかけて、佐賀市、嬉野市、有田町などで撮影を行った本作品。
撮影現場に学生スタッフの1人として参加した村上茜が、『学生スタッフ活動日誌』と題し、現場で見た学生ら8名の姿を日誌形式で書いていきます!
【学生スタッフ活動日誌 前編】佐賀映画『つ』クランクアップ!プロが集まる現場で何を得たのか。
後編では、友松温奈、冨崎涼、林口雪乃、江頭宗次郎の4名をご紹介します。
【撮影】
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氏名:友松温奈
所属:佐賀大学芸術地域デザイン学部 新4年生
出身:福岡県糸島市
特徴:アカペラサークル所属、インナーカラーが可愛い、ヘアアレンジが得意
最初は不安だったけれど
参加初日は、すでに現地での撮影が始まって数日が経過した後だった。
撮影班担当だったものの、プロのスタッフや明らかに高額な機材に囲まれた空間に積極的に入っていくのはやはり緊張した。
しばらく時間が経ち、現場にも慣れたころ、撮影スタッフの間に参入。
"スレート"というカメラの録画がスタートした後に「カチン!」と音を鳴らす重要な役割を担当した。
仲の良いサークル仲間とは、ここでも意気投合
同じサークルの子が学生スタッフ内にちらほら。
大学じゃない、サークル時間じゃない、という日常では体験できないような環境下において、いつもの仲間が側にいるということは、こんなにも安心できるものなのか。
大学で映像デザインを専攻している自分にこれから活きること
アーティストやデザイナーを多く輩出する佐賀大学 芸術地域デザイン学部。
卒業制作を控えた今、制作活動を生業としている大人たちの姿見ることができた。
【照明】
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氏名:冨崎涼
所属:佐賀大学教育学部 新4年生
出身:大分県日田市
特徴:高身長おしゃれイケメン
朝のわずかな隙間を塗って、照明機材の組み立て方講座が開かれた
照明器具の名前、組み立て方、カメラの操作方法など、現場にいる大人たちは何事も親身になって教えてくれる。
教えてくれるということは、その後の学生の動きが期待されているということ。
恵まれた機会であるのを感じるとともに、与えられた時間で、できる事を最大限やろうと思えた。
「こういう活動があれば、またぜひ参加したい」
楽しみながら学べる環境。
ただ大学生活を送っているだけでは体験できないものがあった。
今回のような、学生でありながらプロの方達と一緒に活動できるような機会があれば、ぜひまた参加したい。
また裏方だけではなく、エキストラや少しのセリフがあるような役としての参加も面白そうだと感じた。
【制作】
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氏名:林口雪乃
出身:佐賀県多久市
所属:佐賀大学経済学部 新4年生
特徴:アカペラサークル所属、コミュニケーション上手、可能な限り寝ていたい
周囲を把握する力をつける
制作スタッフは、現場がより円滑に回るために様々なサポートをする。
例えば、コーヒーを作り出すとき、補充するとき、スタッフに渡しに行くとき......。
コーヒーひとつ取っても、スタッフの気持ちがいいタイミングで必要な量のコーヒーがあるために、周りを見て常に状況を把握しながら動くことができた。
「気づいた事を、相手が気付く前にさっとやる」という元々備わっていた習慣が、制作スタッフとしての動きに抜群に機能した。
人手が足りないときは、他の役職にシフトチェンジ
日によってスタッフの人数に変動があり、「今日は音響で!」「今日は撮影で!」と役割が変わることもあった。
その都度、1日の始まりには仕事内容のレクチャーを受ける時間が。
今回、学生スタッフ内で一番多くの役割を経験することができた。
音響班の日。演者にマイクのセッティング
撮影班の日。どこにでもすぐに馴染める彼女の魅力
必要な時に必要な事を
メイキング用のスチール撮影を任された時は、様々な構図から現場を撮影。
この記事のサムネイルになった画像は、友松が撮影班として活動している様子を駐車場の上からパパラッチ風に撮ったもの。
学生がプロに囲まれて活動している様子がよくわかる写真になった。
【制作】
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氏名:江頭宗次郎
所属:佐賀大学経済学部(2021年3月卒業)、住居&コワーキングスペース「ノギ」運営
出身:佐賀県唐津市
特徴:元アカペラサークル所属、面白いことを考える・実行するのが好き、人のために悩める人
学生チームを編成した張本人
佐賀映画制作プロジェクトを主催した写真館『ハレノヒ』と以前から付き合いがあったこと、佐賀大学付近でコワーキングスペース『ノギ』を運営しており学生との繋がりがあることがきっかけで、本プロジェクトに参加する学生スタッフ招集を依頼された。
今までの経験から「この担当はあの子が向いていそうだな」と学生を集め、役割を振り分け。
全体を広く見れるポジションに自身を置き、プロの大人たちと学生間のクッションのような機能を果たした。
監督も絶賛、美術班としての働き
人手が足りない時に誰よりも早く対応できるようにしていたため、細かな仕事を任されることが多かった。
同じ場所で、現在のシーンと幼少期のシーン両方を1日で撮影したある日。
12年の時の経過を表現するために、新品の大道具・小道具を次のシーン撮影までに劣化させなければいけなかった。
ヤスリで削ったりコーヒーで着色したり......。同年代のスタッフとアイデアを出し合い、ものの数時間で12年分の腐敗を施した。
みんなが心地よく過ごせるために
複数の制作会社、撮影のプロチーム、学生チーム、佐賀にゆかりのあるキャスト陣......いつもは交わることのない人々が集まった複雑な環境下において、スタッフみんなが楽しく活動できるように「今ここに課題点がある」「こうしたらもっと良くなる」と感じたことはすぐに交渉。
学生からも大人たちからも信頼を置かれ、現場では「そうちゃん!」の声が絶えなかった。
「映画を作ってみたい」という夢
映画監督になるのが夢だった幼稚園時代、「映画制作」という講義を受けてみた大学時代。
そして今、実際に映画を作る側の人間になった。
映像や音楽、照明や衣装、芝居や脚本......映画は作り上げるための要素が多くて、ごちゃ混ぜ状態。
でもそのごちゃ混ぜが、自分にとってはとても面白かった。
現場の様子を肌で感じ、"思ったよりも、映画制作の事を知っていたんだ"と再確認した。
プロたちが集まる現場で何を得たのか
2回に渡り書いてきた『学生スタッフ活動日誌』いかがでしたか?
映像制作を学ぶため、学生時代の思い出を作るため、面白いことが好きだから......。
各々思い描いていた目的や理由があって、今回のプロジェクトに参加しました。
プロに囲まれた環境で、今しか経験できないことの数々。
でもこの経験は、与えられただけのものではなく、私たち自身の力で、この唯一無二の時間・空間を作り出し、学んでいったのだと思います。
もっとクリエイティブに。もっと自由に。
地方だから、学生だから、なんて関係ない。
誰だって"つくる"人になれるのだと、改めて気づくことができました。
執筆:村上茜