子どもたちの元気な声が聞こえてくる、三養基郡基山町にあるこどもの居場所「ここてらす」。
この場所を運営している一般社団法人ここてらすの活動は、「こどもの居場所」だけでなく、週2回の不登校支援や悩みを抱える家族のための「親の会」、さらには家庭を直接たずねる「アウトリーチ支援」など多岐に渡ります。
そんなここてらすが目指す先には、これからの未来を担う地域インフラの形がありました。
支援はゴールじゃない。助け合いの循環が生まれるまちへ
ここ数年で、拠点の外にまで輪を広げるようになったここてらすの活動。
そこには、現場で子どもや家族と向き合うなかで代表理事の入江航(いりえ わたる)さんが見つけた気づきがありました。
「拠点があるからこそ、その場所で待っているだけだと、つらい状況にある子や、孤立している家庭にはどうしても支援が行き届かないと気づいたんです。そこに対して、民間だからこそできる柔軟さで、その隙間を優しく埋める役割を担えたらいいなと思っています」
「アウトリーチの活動では、実際に支援が必要な家庭を一軒一軒訪問して、お話や相談を聞いています。つながりが強い田舎だからこそ、周囲の目が気になって逆に孤立を深めてしまうこともある。だからこそ、ただ場所を開けて待つのではなく、拠点に来る前段階の支援としても、繋がりをつくりにいくことも意識するようになりました」
そんなここてらすの活動には、入江さんだけでなく、ボランティアや企業寄付など、基山を中心にたくさんの人の支えが集まっています。
最近では、地域の企業さんから物資などの支援をいただけることも増え、ここてらすをハブとして、ものやお金が循環する仕組みが少しずつ生まれ始めました。
「支援の他にも、場所貸しや地域企業とのコラボイベントを企画しています。地元の団体やお店など、地域の資源や『得意』を借りながらいろんな大人に関わってもらう。そうすることで地域に新しい関係性を生み、ここてらすを起点に助け合いの循環がうまれるようになればいいなと思っています」
福祉を超えた「地域の未来」の話
支援する側と、される側に境界線を引かないこと、それが入江さんの思い描くこれからのまちの姿です。
「支援の本質って、ただ困っている人を助けるだけでなく、その先の助け合いの循環をいかに作っていけるかなんだと思います。企業から寄付されたものが家庭へ届く。それによって心に余裕ができた人が、今度はボランティアとしてまた誰かを支える。そんな優しさや、資源がぐるぐる回り続けるハブになることが、ここてらすの役割なのかもしれません」
「これまでは『子どもは親が育てるべき』とか『行政だけで支えるべき』という空気もあったけれど、そうじゃなくて、家庭だけで抱え込まずに地域みんなの目で子どもを見守り、みんなで育てていく。そんな社会へもっとシフトしていきたくて」
頼り合える関係性をまちにつくるために、入江さんは、目指したい未来の風景を優しい眼差しで話してくれました。
「ここてらすが、助け合いの文化を育むまちのハブとして、誰もがコインランドリーのような気負わず立ち寄れる場所になったらいいなと思うんです。子育てが一段落した方や地域のおじいちゃんおばあちゃんが、自然とここの手伝いに来て、みんなで子どもを温かく見守るようなまちの未来がつくれたらいいなと思います」
ここてらすが見つめる先には、『福祉』の枠を超えた地域の未来がありました。
一人一人が地域に手を差し伸べる意識を持つことは、まちに助け合いの文化が巡る、持続可能なものへと変化していきます。
プロフィール
入江 航(いりえ わたる)
基山町出身。大学時代に地域活動と出会い、2019年に立ち上がった「ここてらす」の運営に参画。2021年に代表を引継ぎ、一般社団法人ここてらすを設立。こどもの居場所づくりや不登校支援、アウトリーチ活動に取り組む。現在は、地域の人や企業、行政と連携しながら、子どもたちが安心して過ごせる居場所と、多様な選択肢に出会える環境づくりに取り組んでいる。
SAGAローカリストアカデミー2026 概要
| 日時 | 2026年9月12日(土)13:00~17:00(予定)(受付開始 12:30~) |
|---|---|
| 場所 | 佐賀県庁 新館 地下1階・SAGACHIKA-サガチカ- (〒840-0041佐賀県佐賀市城内1丁目1-59) |
| 参加対象 | 50名(先着申し込み順) |
| 参加費 | 無料 |
| 参加ローカリスト | 入江航 / 大石絢子 / 久野裕子/ 山崎裕次郎 |
アカデミー終了後に、交流会も開催!
歴代ローカリストとも交流できるチャンス。 新たな人脈や面白いアイデアが生まれるかも?
(アカデミーと同会場で、アカデミー終了後に2時間程度開催予定)
※参加申し込みは公式LINE「SAGAローカリスト」の応募フォームからお願いします。
写真:合同会社Light gear 山本卓
取材・文:平野蒼