唐津駅を出て、商店街から繁華街へ抜けた先、城下町時代の家屋が建ち並ぶ「古い町並み」と呼ばれるエリア。
その「古い町並み」の一角で、大正11年から変わらずひっそりと営業を続けている銭湯があることをご存知ですか?
佐賀県でたった一つ現存する銭湯『恵びす湯』。
曲がり角に恵びす像があることにちなんで『恵びす湯』と名付けられました。
「嬉野」「武雄」「古湯」......
佐賀県は言わずと知れた温泉地で、唐津も例に漏れず、たくさんの温泉施設があります。
内風呂の浸透、後継者問題、スーパー銭湯の台頭もあって、県内の一般公衆浴場は軒並み廃業の一途。
数々の苦難を乗り越えながら、今も元気に営業を続けているのは、羊子さんとお嫁さんの明美さんです。
二人は代わる代わる番台に座っています。
(写真左:明美さん、右:羊子さん)
通常、銭湯のような公衆浴場は、各都道府県ごとに「公衆浴場組合」を設け、入浴料の調整を行います。
しかし、佐賀県ではこの『恵びす湯』の一軒のみ、平成8年から据え置きで、全国最安値の大人280円(洗髪料別途50円)。
そもそも洗髪料を設定しているのは全国で『恵びす湯』のみ。
洗髪料とは読んで字のごとく、髪を洗うために支払う料金のことで、一昔前は、湯に浸かるだけの人も多かったようで、各地で洗髪料が設定されていたそうです。
『恵びす湯』の営業時間は17:00から20:30までの3時間半。
スーパー銭湯のような娯楽施設と公共的な側面を持つ銭湯は異なるので、タトゥー(入れ墨・刺青)がはいっていても問題になりません。
つまりマナーを守ったモラルある入浴であれば、だれでも大歓迎!というわけです。
その上、銭湯は地域の社交の場でもあります。
番台に座る羊子さんや明美さんだけでなく、たまたま一緒になった地域のひとと世間話に花を咲かせるひとときは至福の時間です。
「裸の付き合い」だからこそ、つい心も裸にしてなんでも話してしまいそうですね。
かくいうわたしも人生のよもやま話を湯水のようにとうとうと話していたり、話されていたり、気づけば長風呂に......なんてことも珍しくありません。
カランやつぎはぎのタイルなど、昭和の雰囲気を感じるものばかり。
近所には、鏡広告の『みやこ食堂』という昔ながらの大衆食堂も残っています。
銭湯でひとっぷろ浴びて、食堂でいまではあまり見かけない「ポークチャップ定食」に舌鼓を打てば、あなたも昭和の生活を体験できるかも?
情報
住所 佐賀県唐津市大石町2532
入浴料 280円(洗髪料50円)
電話番号 0955-72-4761
営業時間 17:00~20:30(唐津くんち開催期間11/3.4のみ朝風呂7:00~9:00)
定休日 日曜
駐車場 有
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