食堂の名前と電話番号下5桁が記された専用の食器に盛られているのは、今時珍しいポークチャップ。
まだ西洋料理に馴染みがない時代、日本風にアレンジされたポークソテーの一種。
「ポークチャップ」は「ポークチョップ」が訛った呼び名だと言われていて、英語で「チョップ」=「叩き切る」という意味からきている、豚の骨つきロース肉料理のことです。
ひと昔前なら、洋食屋や定食屋のあちこちで見受けられたこのポークチャップも、最近ではとんと見かけることは少なくなりました。
ところが、そんな風前の灯火的ポークチャップを変わらない味で提供し続けている食堂が唐津市内にあります。
昭和33年創業「みやこ食堂」
今からちょうど60年前に、中華や寿司、日本料理など様々な飲食店で経験を積んだ先代がこの「みやこ食堂」をオープンさせました。
息子で2代目にあたる現在の大将、井手口清一さん(以後清一さん)がお店を手伝い始めたのはその5年後の昭和38年。
親子2代でお店を仕切っていた時代には100種類近いメニューがあり、現在よりもひとまわり小さかったお店は、いつも順番待ちだったと言います。その後、清一さんに代替わりをして、お店は現在の姿に。
「今ではひとりで調理も出前もやっています」
そう話す清一さんからは職人のオーラがビシビシ伝わってきます。
おか持ちで出前を届けるのは、冷めずに味が保てるご近所のごく一部のみ。
とはいえ、それでも300軒近く馴染みのお客さんがついています。
ずらりと並ぶメニューは約50種類。
麺類から丼物、定食まで、その豊富ぶりにわたしはいささか迷って迷いました。
この混沌から、今日の一食を選ぶのは至難の業。
(わたしは何度きてもいつも混沌とします)
一番人気はちゃんぽん。
何を隠そう唐津はちゃんぽんの激戦区。
地元に人気な定食屋の代表メニューは、ほとんどがちゃんぽん。
わたしは「ちゃんぽん食べ比べ週間」なるものをひっそりと提唱しています。
肌寒くなってきたこの季節、身体がぽかぽか温まるちゃんぽんは定番です。
整理整頓が行き届いた店内はカウンターが6席、テーブル席が3つに、小上がりが1つ。
この店内の広さに、出前までこなす清一さんは凄いの一言。
「みやこ食堂」は先日紹介した「恵びす湯」から歩いてすぐ。
歩いて散策するのにピッタリな旧城下町の一角にあります。
てくてく観光、てくてく銭湯、そして大衆食堂でキンキンに冷えた瓶ビールと昔なつかしいポークチャップ。
これぞ唐津のゴールデンてくてくルート。
店舗情報
みやこ食堂
住所:唐津市大石町2446-1
電話番号:0955-72-4876
定休:日曜
駐車場:有