【ヤマシロン】佐賀の新ヒーロー誕生!ローカルヒーローの世界と想い

【ヤマシロン】佐賀の新ヒーロー誕生!ローカルヒーローの世界と想い

佐賀の新しいローカルヒーローをご存知ですか。その名は「山代ガス株式会社営業部ヒーロー課 ヤマシロン」。10月からテレビ放送も始まった、今、絶好調のヤマシロンをプロデュースする、株式会社神風プロダクション代表 承山海里さんにローカルヒーローにまつわるお話を伺ってきました。

目次

ヤマシロン

承山海里さん
承山海里さん(神風プロダクション代表)

ローカルヒーローとは?ジャンルや傾向について

取材に伺った日は、千葉で開催された「日本ローカルヒーロー祭」への遠征から戻られたばかり。パンフレットに載る全国のヒーロー達を眺めながら、語って頂きました。

日本ローカルヒーロー祭でのワンシーン
日本ローカルヒーロー祭でのワンシーン、ほか

まず、見た目が豪華、ゴージャスなヒーローには、スポンサーがいます。スーツの製作に予算がかけられるからです。ただし、スポンサーがいるということは、スポンサーの意向や商圏との兼ね合いなど何らかの制約も生まれます。

ヒーローをタレントとして売り出すにあたっては、メディア戦略も重要です。そのようなスキームを最初に確立したのが、ローカルヒーローの始祖と呼ばれる、超神ネイガー(秋田)です。ヒーローモノをローカルで展開し、マネタイズに成功した最初の事例として挙げられます。さらに、超神ネイガーを手掛けたスタッフが参画したのが、琉神マブヤー(沖縄)で、劇場公開もされました。ソフト化、グッズ化、番販などでの収益が見込まれます。同じような事例として、薩摩剣士隼人(鹿児島)がローカルテレビ局主導のモデルとして挙げられます。

スポンサー企業の事業を啓発する目的で活動するヒーローもいます。スポンサーの事業色がヒーローの世界観に反映されます。例えば、ゆめクリワールド ドリームレンジャー(愛知)は、ワクチンやAEDの啓発を行っていて、原作者は現役の医師。ただし、現在の医療の法律では、キャラクターイベントの実施やグッズ販売は、医療機関が行うことができないため、プロデュース会社を設立して運営しています。

ヤマシロンは、この事業啓発型にあたり、山代ガス株式会社をスポンサーに、ガス事業の啓発を行っています。設定やアイテムなど随所にガス事業の要素が反映され、ショー展開にあわせSNS上での立ち居振る舞いも徹底管理しています。

日本ローカルヒーロー祭ほか
ショーもファンサービスも先ずは御挨拶、名刺交換から始まるヤマシロン達(日本ローカルヒーロー祭ほか)

他にも、あくまで個人で活動を行う、スポンサーなしのヒーローもいます。地域に根ざしたスタイルが多く、お金の紐付きが希薄なので自由度が高い(行政ウケも良い)が、その資金面の脆弱さがそのままクオリティや活動面での制限になりえる。上の2つのタイプとは根本的にスタイルが異なります。

女性に人気!ヒーローはタレント業

日本ローカルヒーロー祭の来場者について伺ったところ、わざわざ地方から応援に駆けつけるコアなファンは女性の比率が高いとのこと。イケメンは女性にもてはやされるのと同様にヒーローにおけるイケメン=クオリティとなるため、ヤマシロンのコスチュームのクオリティには力を入れており、ライダーや戦隊モノを手がける日本トップクラスの造形会社で製作しているそうです。

例えば、キタキュウマン(北九州市)は、タレントとしての活動が確立しており、地元の企業CMや広報でも活躍しています。ツイッターのフォロワー数も65,000超と、ローカルヒーローではトップクラスを誇ります。

ヤマシロンは一企業に所属しているため、フリーなタレント活動とまではいきませんが、地元での人気や知名度を高め、広告媒体としての訴求(リーチ)力、商品価値を担保しつつ、確立した影響力を行使してガス事業を啓蒙していく使命があります。

また、面白いビジネススタイルとして、「悪の秘密結社」という株式会社が福岡に実在していて、正義のローカルヒーローに対峙する悪役を専門に供給しています。

悪の秘密結社 ヤバイ仮面写真 右は「悪の秘密結社」の代表を務める、ヤバイ仮面。ヤマシロンの「公式敵役」として参画

ヤマシロンの楽しみ方

ガス会社の会社員という設定が独自の世界観を生みます。ヤマシロンにはビジネスマンとしての所作が盛り込まれており、(例えば、ですます調の口調や名刺交換など)お父さん世代にも共感を呼び、楽しめる内容になっています。

また、ヤマシロンの武器やアイテムにもガスに関わるモノがリアルに取り入れられています。

ヤマシロンのステージ
写真 左から パイプレンチがモチーフ「夢いっパイレン」、ゴトクがモチーフ「ドンキー・コンロ」、ガスの炎がモチーフ「カット・ナットラス」

さらに、ヤマシロンは、3人が合体する設定となっており、内面では3つの異なる性格が、互いに葛藤しつつ、協力、結束するといった、独自のヒーロー像が描かれています。ひとつのヒーロー(一体分のコスト)で複数のキャラクター(タレント)を展開できる、コスト面での工夫も凝らされています。

ヤマシロン誕生までのスピードに驚き!

このようなローカルヒーローの企画の実現までには長い時間を要したと思われますが、わずか4ヶ月の短期間で実現したとのこと。2017年3月に企画提案を行い、同年7月からヒーローショーなどの活動を開始しました。このプロジェクトを動かしているのが、ご紹介のとおり、「神風プロダクション」さんです。

代表を務める承山さんは、東京の映像系専門学校に進学し、そのままアニメ業界に就職。そのまま10年以上のキャリアを積む。2014年の春に佐賀へ帰郷。翌年に会社を設立しました。

風プロダクションの知名度を一気に高めたのは、2016年に行ったイベント。地元の自動車学校を舞台に、SUPER GT車両、痛教習車(レーシングミクでラッピングした教習車)、コスプレ、ご当地アイドル、キャラ、声優(初音ミクの声優 藤田咲さんも参加)ほか様々なポップカルチャーが一堂に会し、地域の人口に匹敵する「6000人」を動員し、メディアの注目も集めました。イベントは大成功でしたが、資金面では大変苦労されたようです。

車校界のプロモーションムービー
車校界のプロモーションムービーより

しかし、このような地元発信の実績を積極的に営業に活用することで類似の案件の呼び水となり、ヤマシロンの企画の実現を後押しすることになります。スポンサーの山代ガスさんは、「餅は餅屋」のスタンスで、一定の裁量権を与えてくれているそうです。

木を植える、育てる、収穫する、売る。その土壌を作る人

承山さんは、佐賀でのポップカルチャー市場の創出を目指しています。今は、そのための土壌をつくり、木を植えるといったイメージをお持ちです。佐賀では、同業者が極めて少ないので、敵も味方もどちらもいません。もちろん、佐賀にもポップカルチャーに関心の高い個人や団体はあります。ただし、「好き」の気持ちだけに根ざした有志やボランティアでの活動は、個々人の考え(想い)が強くなり過ぎて、結束が難しく、バラバラになって、活動が長く続かないケースが散見されるそうです。困難を乗り越えるための結束を補うのが、「お金」であるとのこと。お互いの責任の証がお金とも言えるかもしれません。お金で繋がる=ビジネスとして成立させ、佐賀にコンテンツ分野の需要と雇用を生み出していきたいとお考えです。徐々にその兆しも感じているそうです。

メイド in 佐賀
企画書の最後には「メイド in 佐賀」のメッセージ

以上、駆け足でのご紹介となりましたが、佐賀のポップカルチャーやコンテンツビジネスを盛り上げるために奮闘する風プロダクション、そして、その活動の一翼を担ったヤマシロンのこれからの活躍に注目です!

関連情報

公式サイト:https://www.yamashiro-base.jp/
公式情報Twitter:https://twitter.com/yamashiron_mid
ヤマシロン(キャラクター)Twitter:https://twitter.com/yamashiron_yam
youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCfw7he0HB9yf7-jrORIQV5A

TV番組:「おたすけ!!ヤマシロン」 サガテレビ 毎週日曜 11:45〜オンエア
番組情報Twitter:https://twitter.com/otasuke_yam
番組youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCGhwh1KAt_36kb9ISsfSwPg
LINEスタンプ:https://stamplist.net/line/375987


EDITORS SAGA 編集部 椛島 一彦

EDITORS SAGA 編集部

編集部

今までなかなか紹介されていないような佐賀の隠れた魅力や新しい情報をお届けするべく日々、奮闘中!...

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