「みち」が変われば、「まち」も変わる。佐賀駅前でのトークイベントレポート PR

「みち」が変われば、「まち」も変わる。佐賀駅前でのトークイベントレポート

『SAGA2024 国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会』に向けて大きく生まれ変わる佐賀。

2022年11月に、佐賀の玄関口であるJR佐賀駅の佐賀城口(南口)に『佐賀駅前交流広場』が誕生。土日にはイベントが、平日にはキッチンカーが並び、駅の利用者だけでなく、観光客やビジネスマン、学生が普段使いする憩いの場となっています。

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そして、駅を利用される方はご存知かと思いますが、佐賀駅から駅前まちかど広場までの4車線道路では、車線を減らし歩道を広げるための工事が行われているところです。

そんな中、今後の道路整備の内容や活用に関する説明会に加え、道路のデザインを監修した『ワークヴィジョンズ』の西村 浩さん、全国で公共空間を活用したまちづくりを行う都市プランナーの泉 英明さんをお招きした、トークイベントが7月3日に行われました。

駅からまちへ。ひとの流れを作るまちづくり

仕事帰りや学校帰りなど、人通りが多くなってきた夕方6時半。佐賀駅前交流広場に新設された大型ビジョンの前に、続々と人が集まります。

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はじめに、佐賀県まちづくり課の天本課長の挨拶があり、担当の河原主任主査より、現在行われている道路整備の概要について説明がありました。

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佐賀駅南で行われている道路整備は、現在4車線ある道路を2車線に減らし、佐賀駅前交流広場から連続した広場のような歩道空間へと整備するもの。

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2021年10月下旬に12日間行われた社会実験『佐賀駅南テラスチャレンジ』では、道路を2車線にして生まれた空間や沿道の建物の軒先を活用し、「居心地がよく、歩きたくなる道路空間」を一時的に作りあげました。その成果から、居心地がいい空間の実現に向けて急ピッチで工事が進められています。

『佐賀駅南テラスチャレンジ』に関するレポートはこちら

イメージ写真とともに説明されたこれからの佐賀駅南の姿は、ワクワクするものばかり。

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広場と一体になった道路には、建物の軒先を使って飲食店などのさまざまなお店が出店したり、キッチンカーがやってきたり。大きなベンチでは、お店で購入したものを食べたり、打ち合わせスペースとして活用できたり、色々な使い方が生まれることを想定されています。駅を利用する方だけでなく、駅前のこの場所へ行くことが目的になることで、よりにぎわいを集め、楽しい場所、魅力のあるまちへ進化していくことでしょう。

佐賀駅南の道路が目指すのは、駅からまちへ人々をつなぎ、佐賀のまちを歩いて楽しむ起点となる場所にすること。観光客をはじめ、佐賀に訪れる人達が最初に足を運ぶ玄関口として、佐賀の文化に触れる場所として誰もが安心して使える場所になるために、これからどのような取り組みが必要なのでしょうか。

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▲中には、立ち止まって話に耳を傾ける人の姿も。

人々が"使いこなす"まちへ

「ほこみち」として、佐賀県で初めての取り組みがスタートする佐賀駅南。
今回のトークイベントでは、そんな新しく生まれ変わる佐賀駅南を面白い場所にしていくために、どのようなことを考えたら、どんな行動をしたら良いかなどのプレゼンテーションやトークセッションが行われました。

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「ほこみち」とは、にぎわいのある道路空間創出のための制度「歩行者利便増進道路」のこと。2020年に創設された制度で、歩道空間を確保しながらも、その一部を歩行者の利便増進を図る空間として定めることで、テーブルやイスを置いて憩う場所にしたり、イベントを開催し集う場所にしたりと多種多様な道路空間の活用が可能になります。

そんな「ほこみち」となる佐賀駅南のエリアをより魅力的な場所にしていくには、駅前を面白い空間にし、その空間の利用価値を高めていくことが必要と西村さんは言います。

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▲佐賀で長年まちづくりに取り組む『ワークヴィジョンズ』代表の西村さん。これからの佐賀のまちをどのようにワクワクさせるか、みんな興味津々です。

ハード面ができていても、そこの中身(ソフト面)が充実していないと意味がない。西村さんはこれまで、シャッター通りや空き地が増えていく佐賀のまちなかで、その空いた場所をいかに楽しみ、豊かな空間を作ることが出来るかを、呉服元町にある『わいわい!!コンテナプロジェクト』といった取組を実践しながら考えてきました。

楽しそうな空間が一時的でなく日常的にあるためには、限られた人だけでなく、市民みんなで使いこなすまちへ、人々の活動を巻き込んでいくことが重要だそう。
人々の多様な活動があちこちで生まれ、人々が住みたい、お店を出したいと思えるまちにすることで、まちの価値が上がり、経済が循環し、更に魅力的なまちへとつながっていくそうです。

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いろんなことを試しながら、育てていくまちづくり

佐賀駅南のエリアを、駅からまちへ人々をつなぎ、佐賀のまちを歩いて楽しむ起点となる場所にしていくためには、「車中心の場所」を人々が憩う「人中心の場所」へ、通行するための場所から通行以外の利用ができる場所にしていかなければなりません。

いま、歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりが大きな潮流になっており、世界中で、まちの中の一番いい場所を人中心の場所として作りかえる取組が進んでいると泉さんは言います。

そんな場所に人々が集まり、様々な活動が行われる場所となっていくには、行政ではなく民間主導の取組が欠かせないとのこと。まずは民間から、行政では思いもつかないような"トガッた妄想"をすることが大事で、その妄想を試しにやってみよう!というところから面白いまちづくりが始まるそう。

面白いことを民間がやりはじめ、そこに人々が集まることで魅力的な場所へとまちが変わっていく。行政はそんな民間の動きを後ろから支援することが大事だという言葉が印象的でした。

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▲ゲストの有限会社ハートビートプラン 代表の泉さん。各地で行ってきたまちなか再生や公共空間の使い方についてプレゼンされました。

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まちを楽しむ施策を行政主体ではなく、市民や事業者ひとりひとりが「自分にはどんなことができるか」を考え、行動に移し、様々な人やモノ、ことを巻き込んでいくことが、これからの佐賀には必要となっていきそうです。会場からは「自分たちもほこみちに参加したい!」という声もあがり、この後の佐賀駅南の動きがますます楽しみですね。

佐賀駅前交流広場がオープンしてから、人通りが多くなり、暗かったまち並みが明るく、安心して過ごせるまちになってきたとの地元の方からの声も。

道路空間や沿道の建物などで、色々なチャレンジを繰り返し、関係人口を増やしながら、人々が滞留する場所にしていくことで、その場所からその先のまちなかへ足を運ぶ流れが生まれる、にぎわいが滲み出していく。そんな広がりが佐賀のまちの魅力の向上につながることでしょう。

将来的には、佐賀駅南から、佐賀城がある城内エリアまで人の流れを作るのが一つの目標だそう。まだその取り組みは始まったばかり。「歩いて楽しいまち、佐賀」に向けて、これからどんなワクワクするチャレンジがスタートするのでしょうか。

みなさんもどんなことがあったら、ワクワクするまちになるか、常識をとっぱらってトガッた妄想をしてみては?
その妄想が、佐賀をもっと魅力的なまちにする第一歩になることでしょう。

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文章:相馬 千恵子
写真:武藤 功樹

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