あなたは自分に自信がありますか?
そう言われて、文字通り自信をもって「はい」と答えられる人が、どれほどいるでしょうか。
このたび取材に訪れた、吉野ヶ里町の整体サロン「脳ストレス整体calm」のオーナー・佐々木有美子さんは、こう言い切ります。
「自信とは、自分らしい人生を生きるということです。すべての人間には価値があり、役に立たない人は1人もいません。自分を支配してきたネガティブな考え方から解放されると、誰もが自信を得て、いきいきと人生は輝き始めます」
明確な答えに思わずハッとしていると、佐々木さんは顔をほころばせて言葉を続けました。
「私がそうでしたから!」
お客さんの体の不調を癒す場にあって、「心の在り方」を重要視する佐々木さん。「脳疲労」に着目した独特な整体サロンの特徴を示すとともに、仕事に向き合う確固たる信念が、その笑顔の奥に燦燦と輝いているように見えました。
ストレスを見つめる
サロン名となっている「calm」は日本語で、穏やか、落ち着いた、といった意味。店内に足を踏み入れると、広くはないものの無駄なものがないシンプルな空間が、確かに心地よさを感じさせます。お客さんが横たわるベッドが敷かれているほか、奥には白いテーブルクロスに覆われた円卓があり、語らいのスペースになっています。
「お客さんが体を『治す力』をおのずと身に着けていただくのが私の役目。そのために、これまで溜め込んできたストレスに着目し、それを解き放ちながら心と体をクリアにしていきます」
佐々木さんの名刺を見ると、目に入ったのは「ストレスケアトレーナー」の肩書。ストレスとの向き合い方が、その人の人生を決定づけると佐々木さんは言います。
「生きていく中で身に着いた考え方や辛いマイナスな経験からくるストレスがもとで体に不調をきたすことがあるんです。心と体は密接につながっており、体の一部を応急的に治しても根本的な解決にはなりません。施術だけでなくお客さんとの対話を重視し、これまで自分を支配してきたネガティブな思考に目を向けていただく。そうやって脳にこびりついた疲労を解放しながら、体全体を健康にしていくことをお客さんと一緒に目指していきます」
笑顔を浮かべつつはっきりとした口調で語る佐々木さん。その姿に、これまでの様々な人生経験を経て掴んだ「自信」が窺えました。
生きづらさを自分で作っていた
佐々木さんは1976年、佐賀市生まれ。高校卒業後に就職し、24歳で結婚しました。1男2女に恵まれ子育てに励みながら、佐々木さんは幼稚園事務の仕事に加え、内職もこなす忙しい日々を送ります。
「好奇心旺盛で、興味あることにすぐ飛びつくんですよね」
そう振り返る佐々木さんですが、思わぬ逆境が降りかかります。「こうあるべき」という意識が強すぎるあまり、家族との関係がぎくしゃくし、職場など他の人間関係にも悪影響を及ぼすようになったのです。
「もともと人と交わるのが好きなタイプ。でも気がつけば自分の理想を他人に押し付けたりしていて。さらに私には、『人の気持ちが分かりすぎる』という特性があり、相手の反応に一喜一憂して自分を苦しめていったんです」
加えて交通事故や病気など不運な出来事が重なり、精神的に追い詰められるようになりました。
「何で私ばかりこんな目に遭わないといけないの?と自分のことを棚に上げて、他人や環境を責める思考に陥ってしまいました」
ネガティブな無限ループに嵌ってしまった中、40歳の時に膠原病を患ってしまいます。体調不良に悩まされる日々を過ごしながら、佐々木さんは「命は有限」だと思い知ります。
かけがえのない命を大切にしたい。すると、生きる上で大切な感覚に「気づき」始めたのです。
「徐々に見えてきたんです。生きづらさを作っていたのは、結局は自分自身だったって。それが分かると、病気に対して『ありがたみ』も感じるようになって」
心と体を癒すべく、様々な治療法を試した佐々木さん。そして43歳の時に遭遇したのが、「脳疲労専門の整体サロン」でした。
「今のサロン経営に繋がる心と体のケアに出会い、私は心身ともに本当の自分を取り戻しました。このメソッドを私も身に着け、人の役に立ちたいと思うようになりました。自分が変われたように、今苦しんでいる人が変わっていくお手伝いをしたいと」
将来をはっきりと見定めた佐々木さん。サロン希望者向けの講習に通いつつ独学で知見を深めていき、45歳の時に働きながら自宅でサロンを開設。そして今年4月、長年勤めた幼稚園を退職し、念願の店舗サロンの立ち上げを実現するに至ったのです。
未知の自分に出会う挑戦
前向きで心身ともに充実した自分をついに手に入れた佐々木さんは、誰もがあっと驚く挑戦を始めました。
「この仕事を通し『すべての人を笑顔にしたい、誰一人取り残したくない』との気持ちが募る中で、社会貢献活動を掲げている『ミズエシカリンクジャパン』の存在を知りました」
ミズエシカリンクジャパンは、心身ともに美を磨きあげたミズたちが社会貢献活動を通し、「学び」「支え合う」「行動する」団体で、SDGsの精神に基づいた多様な活動を行っています。
毎年全国各地でエリアリーダーを決めるコンテストが開かれており、佐々木さんは今年の福岡大会にエントリーすることを決意します。
「コンテストは、出場者がまるでミスコンのように、スピーチやファッション、立ち振る舞いを競い合うんです。私もレッスンに通い、姿勢や話し方、ウォーキングを教わりました」
そして迎えた7月6日。努力が実った佐々木さんは見事にエリアグランプリを獲得。10月に開催される日本大会出場を果たしました。
「家族や周囲の人たちの支えもあり、最高の結果が得られてとても嬉しいです。自分を愛し、自分の可能性を信じれば、誰でも変われる。それを私自身が身をもって体験することができました」
苦しい経験の先に訪れた新たな挑戦。佐々木さんは未知の自分に出会い、さらに大人の女性としての魅力を深めることができたのです。
全てのことに感謝して
自信=自分らしい人生を貫く。
公私ともに、まさにそれを実践している佐々木さん。これまでの半生を振り返り、はっきりわかったことがあるそう。
「過去に私が味わった辛い出来事って、今の自分らしさを手に入れるまでの『お試し期間』だったと思うんです。経験の一つ一つが全て、現在の自分に繋がっていますから」
確かに、人はしんどい時は周りが見えず視野が狭くなりがち。時間を経ることで、このしんどさがどんな意味を持っていたか、気づけるというわけですね。
「自分を縛っていた『こうあるべき』という思考、悩まされ続けた周囲との人間関係、そして私をどん底にまで沈めた病気にすら、いま私は心から『ありがとう』と言いたいんです」
取材中、佐々木さんの口から何度も発せられた「感謝」の2文字。過去の自分や出来事に感謝することで現在がさらに輝くとの実感が、はっきりとした口ぶりから伝わりました。
さらに、今後の夢は?と聞くと...
「幸せに生きていたい」
それは具体的な事柄でなく、実にシンプルな一言でした。
「私自身が幸せだからこそ、人を幸せにできます。幸せを作るのは自分自身ですが、後押ししてくれる人の存在もまた不可欠。そんな女性でこれからもあり続けたい」
幸せは必ず連鎖し、やがて世界は明るく豊かになる。そんな信念が、佐々木さんからひしひしと感じます。これまでの人生を踏まえた「境地」には、十分な説得力がありました。
「個々が自立して、認め合う。そんな世の中、素敵だと思いませんか?この小さなサロンで、心身を整えながら自分の価値に気づき、これからの人生を羽ばたかせてほしい。ご縁があった方々とのふれあいをこれからも日々重ねて、自分なりのやり方で社会貢献を果たしていきます」
熱く、力強く、そして爽やかに語る佐々木さん。その瞳には一切の曇りはなく、確かな眼差しは現在、そして未来へと向けられています。
| 店舗名 | 脳ストレス整体calm |
|---|---|
| 代表者 | 佐々木有美子 |
| 住所 | 佐賀県神埼郡吉野ヶ里町大曲3428-18 Liv Style 2F |
| 営業時間 | 10:00 〜 19:00 |
| 定休日 | [不定休]完全予約制のため |
| 電話番号 | 090-2512-9224 |
| 公式SNS | Instagram:@sa.sa.calm |
| 地図 |
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