今年も開催!『JONAI SQUAREのMONPE』 縞模様が広げる、新たな久留米絣の可能性

今年も開催!『JONAI SQUAREのMONPE』 縞模様が広げる、新たな久留米絣の可能性

「なんもなか(=なにもない)」が口癖の佐賀の人たちにこそ伝えたい、地元に眠る地域資源。

九州北部の筑後地域を中心に、地域のものづくりと文化を紹介する地域文化商社『うなぎの寝床』の視点で、佐賀周辺の魅力をお届けします。


久留米絣のもんぺを「再解釈」してみた

みなさま、お久しぶりです!
福岡県八女市で地域文化商社として活動する『うなぎの寝床』の渡邊です。

だいぶ暖かくなってきましたね! ジメジメとした湿気も気になってきて......、ということは?
そう、「もんぺ」の季節の到来です‼

昨年サガテレビ1階で開催された『JONAI SQUAREのMONPE』が、今年も5月20日(土)〜6月18日(日)まで開催されることとなりました!

『うなぎの寝床』がつくる、福岡県の伝統的な織物である「久留米絣(かすり)」をもんぺを通して、体感してもらうためのイベントです。

今年もこのイベントに向けて、佐賀のイベントチームの皆さんと一緒に、久留米絣のストライプの可能性を広げたいという思いで、新たなもんぺ生地を開発しました。

先日、その開発会議に潜入してきましたので、レポートをお届けしたいと思います。

「久留米絣」ってそもそもどんな織物なのか。今回の取り組みが産地にとって、どんな意味を持つのか。ぜひ読んでいただけたら幸いです!

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そもそもなんで「もんぺ」?久留米絣ってなに?

「もんぺ」ってそもそも何なのでしょうか。

おばあちゃんたちが農作業で着ているイメージを持っている方が大半だと思いますが、もともとは戦時中に国が定めた「婦人標準服」というガイドラインの中で、布も統制される中、着物を解いてズボン型の衣服を作るように奨励されたのが始まりです。

ただ、実はそれまで着物しか着ていなかった日本人女性にとって、もんぺは初めての「パンツスタイル」だったのです。「なんだこれ、めちゃくちゃ機能的!そして楽!」ということで、戦後に女性たちの農作業着として自然と定着していった、というわけなのです。

そういう意味では、もんぺの誕生は日本人女性の普段着ファッション史に残る、画期的な出来事でした。

そして、ここで出てくるのが「久留米絣(かすり)」。

夏でもさらっとやわらかい着心地と柄が、もんぺの生地として大人気となり、久留米絣の産地は戦後、もんぺ用の生地を織る一大産地となりました。

しかし最盛期には200軒近くあった織元も、着物やもんぺなどの需要が減少するとともに衰退し、現在は20軒弱まで減ってきています。

そんな今こそ、「もんぺ」という最強ワークパンツにふたたび着目し、「現代風もんぺ」として再解釈して伝えていこうということで、『うなぎの寝床』では日々活動を続けています。

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「久留米絣の織元がつくる縞」の可能性を広げるために

覚えていらっしゃる方もいたら嬉しい(!)のですが、昨年も開催された『JONAI SQUAREのMONPE』で、どことなく佐賀らしい配色の、久留米絣のストライプ柄が開発され、お披露目しました。

それがこちら‼(これでスタジアム応援に行かれた方もいらっしゃったとか......!)

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このストライプ柄は、実は久留米絣の産地ともに活動する、私たち『うなぎの寝床』としても、未来へ続いてほしいというある思いをもって開発されたものです。

久留米絣の絣(かすり)というのは、柄を作る技法のことをいいます。かなり特殊な技法で、糸を部分的にくくって(縛って)、染めて、解いて、白く残ったところが柄になります。
とても難解な設計図をもとに、くくるところを計算し、30にもおよぶ工程でできあがります。

しかし非常に手間がかかるがゆえに、絣模様の入った久留米絣の生地はどうしても高価になります。その価値にたどり着いてもらうためにも、まずは「入口」として、普段ばきしやすい無地や縞(ストライプ)の生地も、産地では多く織られています。

その中でも、佐賀チームの皆さんと着目したのは「縞」です。
縞=ストライプ柄は、古今東西さまざまなパターンがあり、その土地土地や民族をあらわしたり、家を象徴したり、意味合いをもって作られてきた歴史があります。

色の組み合わせや太さなどで、表現の幅もとっても広く、再解釈を加えることで「新たな久留米絣」を生み出せる余地も大きいのです。

今年の生地開発でも、この「久留米絣の織元がつくる縞」というテーマを継承して、新たな解釈を加えられないか?と、佐賀・うなぎチーム、そして織元である久保かすり織物さんと試行錯誤を重ねてきました。

一体どんな生地ができあがったのでしょうか......!?

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今年のテーマは「もんぺになったら完成する縞」

どうしても生地開発をしていると、織り上がった状態で完成!という意識になってしまいがちなものです。

しかし料理でいえば、あくまでも生地は「素材」です。そのままではなかなか楽しむことができません。どう料理するのか?というところが、「服としてのデザイン」の領域なのです。

「もんぺ」が戦時中の女性たちにとって、ある種のファッション改革であったように、久留米絣の縞を再解釈をすることによって、「服としてのもんぺ」の捉え方を広げられるかも

そんな新たな可能性を秘めた、新しい生地ができあがってきています。
一体どんな生地&もんぺなのか、続きは後編でご紹介していきます。どうぞお楽しみに!

(少しだけチラ見せ!)

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『JONAI SQUAREのMONPE』は5月20日(土)から!

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今年もたくさんのもんぺが、『JONAI SQUARE』に勢ぞろい!蒸し暑い夏に備えて、ぜひ今年の一本を探しにこられてくださいね。

イベント名 JONAI SQUAREのMONPE
日程 2023年5月20日(土)~6月18日(日)
場所 JONAI SQUARE(サガテレビ1F)

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うなぎの寝床
リサーチャー(広報企画)・通訳

渡邊 令

1989年東京都生まれ、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)社会人類学部卒業。その後福岡のポンプ会社で社長秘書を勤めた...

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