SAGAローカリスト2025 お試し地域づくり活動② 歩いて食べて学んで感じる里山の命のめぐみ PR

SAGAローカリスト2025 お試し地域づくり活動② 歩いて食べて学んで感じる里山の命のめぐみ

ローカリスト・塘(つつみ)さなえさんのお試し地域づくり活動は、「わなDE狩猟!~野草フェスにも遊びに行こう~」と題し、佐賀市富士町で11月8日(土)に開催されました。

わな猟師で、ジビエブランド『たまきはる』代表の塘さんは、佐賀市富士町の出身です。市外で暮らすようになって改めて故郷への思いが強まり、使命感のもと2023年、わな猟師の免許を取得しました。現在、佐賀県猟友会神埼支部に所属。ハンターとしての活動を広げています。

今回の集合場所は、佐賀県有数の温泉郷、古湯温泉街にある「SAGA FURUYU CAMP」。富士小学校と富士南小学校の合併にともない、廃校となった旧富士小学校の校舎をリノベートした合宿専用の複合宿泊施設です。1Fは富士町観光案内所のサテライト拠点としても活用されています。

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歩いて知る古湯のまちと里山

天気がよく清々しい朝、ネクストローカリストたちが集まって自己紹介を始めます。
「"狩猟"というと難しそうだというイメージになりがちですが、もっとハードルを下げられたらいいなと思っています。まずはみなさんで一緒に仲良く活動してほしい」と塘さん。

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この日はSAGA FURUYU CAMPで「野草フェス」が開かれていました。まず、古湯の今の姿を知るために、その野草フェスのプログラムの一つである「野草探偵団」という散策会に参加させてもらいました。

富士町をはじめ佐賀市の中山間地域で活動する地域おこし協力隊の林さんに、山野草についても教わりながら、古湯のまちを約1時間歩きます。

イチジクやサザンカ、クズの葉など里山の植物に足を止め、解説を聞きました。

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カラムシの葉は食べられるほか、ハーブ風呂にも使われるそうです。むかご、お茶の花なども見ることができました。「朝露が降りてきて、それを植物たちが浴びて目を覚ます、自然の循環って素晴らしいですね」という説明も相まって、里山の豊かさをより一層感じることができました。

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標高50mほどの権現山へと向かい、石段を上がったら小さな公園が現れました。ここで山の葉をちぎってつくる万華鏡を体験して休憩します。

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野草茶もふるまっていただきました。ドクダミ、ヨモギ、桑の葉、柿の葉などがブレンドされ、かすかに野の香りを感じるスッキリした味わいです。

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和やかな散策の途中で、辺りのけもの道に気づくと、真剣な表情を見せる塘さん。エサを求めて動物が通った形跡があるようです。
「親から子へと代々使われて、踏み固められた道。土が固くなっています」
姿は見えずともイノシシたちがこの道を渡っていったのか、と想像しました。

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ウォーキングを終えた後は足湯に浸かって、疲れた足をじんわりと温める人も。散策と温泉が気軽に楽しめるエリアです。

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命をいただくバーベキュー

古湯のまちから嘉瀬川ダム方面へ北上して次に向かったのは、富士町大野にある「ゲストハウス山秀朗(さんしゅうろう)」。ジビエバーベキューの準備に取り掛かります。

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ジビエは塘さんがイノシシ、鹿などのお肉をたっぷりと用意してくださいました。ネクストローカリストの中には、自家製の無農薬野菜を持ってきてくださる方や、手作りのジビエ専用ソースを用意してくださる方も!

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自然と輪になり、みんなで下ごしらえ。バーベキューの準備が着々と進んでいきます。

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炭火を起こすのも一から。中学生のネクストローカリストも興味深く観察しながら手伝ってくれました。

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その間、「ゲストハウス山秀朗」のオーナー藤田さんから、宿泊施設についてのご紹介も。部屋の中に入らせていただき、建物のことなどを丁寧に説明してくださいました。

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みんなで協力し、すべての準備が整いました。充実感のもと食事をスタート!炭火で焼いたイノシシ肉はくさみも少なくコクが感じられます。イノシシのソーセージも、うまみがギュッとつまっています。

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イノシシの心臓部分もスライスされ、炭火で焼かれました。
「シシハツ、いただきます」という声とともに初めての部位をゆっくり噛みしめます。

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塘さんが捕らえたアナグマの足。アナグマもイノシシも野生動物は季節によって味が変わると言います。
「噛んでいくうちにだんだん野生の味がして、けもののお肉なんだと実感します」と、先に試したネクストローカリストが感想を伝えていました。
ふだん食べている加工された肉とは違う、生きていた時の状態により近い姿のお肉に驚きながらも、おいしくいただきました。

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準備からみんなで行い、炭火を囲むバーベキューは共同作業の賜物。
ネクストローカリストたちは自然に声をかけ合い、終始、和やかな雰囲気に包まれていました。生き物への命、そして人への感謝の気持ちが生まれます。

わな猟の現場をイメージする

次に、ゲストハウスの横の空き地へと移動しました。塘さんは、イノシシやアライグマを捕獲する箱わなの設置について解説します。
エサをまいて近づいてくる小動物が箱の中に入り奥まで進むと仕掛けが作動する構造です。扉がパタンと閉まるのはほんの一瞬。外からは見えないので、仲間の動物たちに学習させず繰り返し使えるのだそうです。

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質問も飛び出しました。
「この箱わなはどんな場所に設置しますか?」
「山で静かに暮らしている動物を捕獲するのではなく、畑などを荒らす動物を捕まえるために人と自然との境界線に設置することが多いです」と塘さん。

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さらに裏の山手へ移動した後、くくりわなも実演。
「イノシシは嗅覚が人間の数千倍。人のにおいが残ってしまうので、土や草を直接手で触らないように」
穴を掘り、仕掛けを埋めて設置していくのも慎重に行われます。
この工程をしっかり動画撮影しながら真剣に観察するネクストローカリストもいました。

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くくりわなを設置した場所を整え、土をかけて見えないように工夫します。
塘さんが手首で実演すると、パンと一瞬でバネが跳ね上がって、ワイヤーが巻きつき締まります。想像していた以上のスピードに驚きました。

ここまではデモンストレーション。最後に近くの山の探検にも行きました。
汚れのつかない化学繊維のヤッケ、足をカバーする長靴のほか、木を伝って山中を進むため、手袋も必須です。林へと入っていき、獣道を実際に歩いていきます。

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「大きい足跡から小さい足跡までありますよね。イノシシたちがなぜこの道を通るのか、その先に何があるのか、行動の訳を探る必要があるんです」と説明。

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「どうやってここまで来られたか、通ってきた道がわからない」
という声がもれるほど、険しい山の中を歩いて戻りました。
里山を知り、わな猟のイメージを深めるという充実の一日。最後は「おつかれさまでした」と一本締めで解散です。

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まだまだ聞きたい、狩猟の話

ネクストローカリストのうち、現役の教員の方は
「狩猟に興味があるというより、自分が知らなかったことを知りたいと思って参加しました。実際に触れることが大事ですね。学校にいる子どもたちにもこういう取り組みを知る機会を持ってほしいと思います」
と話していました。

解散した後もトークは続き、特に印象的だったのがイノシシの習性について。
「小さな子どもたちをむやみに捕獲しても意味がなく、親を確実に捕まえることで子どもたちは自然淘汰されます。子どもが捕獲された場合、親のイノシシはすぐ出産できる体になり、どんどん繁殖してしまうんです」
特に狩猟に関心のあるネクストローカリストは直接質問しながら、「鳥獣保護法」など当事者ならではの深い話に聞き入っていました。

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熊による被害の問題が報道され、「狩猟や有害鳥獣駆除」についても関心が高まっています。自分を守り、地域を守るために動物たちの命とどう向き合っていくか。今回のお試し地域づくり活動でそれぞれに考えるきっかけができたと思います。

富士町で過ごした一日。それは、整備された温泉街の街歩きから動物が棲む山歩きまで幅広く、歩いて食べて学びながら多くの体験ができました。里山における暮らしや活動のほんの一面だと思いますが、それでも山との向き合い方を考える大きな一歩でした。

EDITORS SAGA編集部

SAGAローカリスト2025

「やりたい」が「できる」に変わる地域へ。 佐賀県には、「やりたいこと」を追い求め、周りの人たちを巻き込みながらカタチにしている『...

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