SAGAローカリスト2025 お試し地域づくり活動④ 「集客」をゴールにしない企画カフェ PR

SAGAローカリスト2025 お試し地域づくり活動④ 「集客」をゴールにしない企画カフェ

2025年度のローカリスト・細川亮さんの「お試し地域づくり活動」は、126日、佐賀市にある「Digital study佐賀呉服元町店」で開かれました。

テーマは、「"集客"やめませんか?「あの人」視点で「参加したい!」を生む企画カフェ」です。

「集客をやめる」ための作戦会議

まずは、この企画が生まれた背景から説明。
「地域で活動する人をローカリスト、これから何かをやっていきたいという人をネクストローカリストと呼んで、一緒に企画して新しい動きをつくっていこうという取り組み『お試し地域づくり活動』の一つです」。

localist20254_01.jpg

「『やりたい』が『できる』に変わる地域へ」をテーマに、今年は加唐島や大町町、佐賀市富士町を舞台に、ネクストローカリストのアイデアを形にするお試し地域づくり活動が実施されています。
(詳しくはS A G Aローカリスト2025 の記事をご参照ください。)

細川さんは特定の地域で活動しているわけではなく、また、特定の分野の活動に取り組んでいるわけでもないため、そもそもなぜローカリストに選ばれたのだろうと不思議に思っていると言います(行動を起こしたいという「パッション」の大きさは一つのポイントのようです!)。

その中で、ネクストローカリストたちのやりたいことを形にするため、何度もオンライン・オフラインのミーティングを重ね、生まれた一つのアイデア。それは、「ネクストローカリストたちが一歩踏み出すための場づくり」のための企画でした。

localist20254_02.jpg

背景にあるのは、一歩踏み出したいと思っても、「集客」や「仲間集め」に苦労し、不安を抱えてしまい、企画し続けることへの壁にぶつかってしまうこと。細川さん自身が抱えている悩みでもあり、多くの方が抱えている問題かもしれない、と言います。

そこで、「『集客しないと』の意識からスタートしなければいいのでは?」という問いから、視点を変えて企画を見つめ直す作戦会議をしようということに。
「集客を前提としない選択肢をみんなで探っていけたら。王道を教えるというものではなく、あ、これだったらいいかもね、と気づける場になると幸いです」。
細川さんの意図も共有したところで、いよいよ具体的なプログラムに移ります。

トークフォークダンスで「アイスブレイク」!

ネクストローカリストの森一真さんに交代して、「トークフォークダンス」を進行してもらいます。

localist20254_03.jpg

「一つのお題を出し、それについて、ペアを組んで11でひたすら話していただきます。ただ、無理に話す必要はありません。今回は『うーん』と言いながら過ごしていただいてもいいです。否定をしないこと、アドバイスをしないこと。うなずく、追加の質問はOKです」とルールを説明。

localist20254_04.jpg

隣の人とペアになり、「最近あった楽しかったこと」をそれぞれ1分間で話すというワーク。

「オチに行く前に終わってしまいました。プレゼンテーションとか得意なんですが、時間管理が一番難しい」
「もつ鍋について話してもらいました。描写が具体的でお腹が減りました」
など、話し手、聞き手それぞれの感想もありました。

localist20254_05.jpg

他に、「最近寂しかったこと」「最近イチオシのあれ」というお題も出され、それぞれ1分ずつのトークが繰り広げられます。時折、「わかるわかる」などという声が聞こえ、その場で考えたことを話しながら、この短い時間でのやり取りを通して、場が温まっていくのが感じられます。

localist20254_06.jpg

ネクストローカリストたちの実験と挑戦

localist20254_07.jpg

トークフォークダンスでのアイスブレイクが終わると、地域で「実験または挑戦をしている仲間たち」と紹介され、ハルさんが登場しました。

localist20254_08.jpg

「佐賀を舞台にしたアニメ『ゾンビランドサガ』に出合い、勇気をもらい、いつか何らかの形で恩返しをしたいと思っていました。ようやくコロナや子育ても落ち着いて企画したのが、作品のファン(ゾンビィ)たちに向けた非公式のゾンビランドサガバスツアーです」
とハルさん。

これまでオフ会など主催の経験がないハルさんが、初めて2日間の旅程でバスツアーを組んで、20251122日、23日に実施されました。アニメの聖地を巡りながら伊万里湾で行われる花火大会へ行くなどの内容が盛り込まれています。

localist20254_09.jpg

・交通の便がよいとは言えない花火会場。同じ目的地なら一緒に行くと渋滞も多少緩和できるのではないかと思い、バスツアーを企画。
・最初は、参加者集めよりもスタッフ集めに苦労。スタッフ78人の半分ほどが仕事仲間で、愛知県在住。開催地のことが見通しにくく、不安や不満が表面化。
・警察から連絡を受け、行政のご担当者ともお話しして、旅行業法違反には当たらないことなどを確認、感謝の言葉もいただく。
・企画段階からAIを要所要所で使い、重要な部分は自分でディレクションと仕上げを行った。ツアーを告知するX投稿では、SNSのインプレッションは9.8万、「いいね」は932、リポストは303という結果。
・当初、ツアー参加者は100人の目標を掲げていたが、スタッフ配置などの問題から修正し、40人を定員とした。結果的に参加者は37人に。

など、新たなチャレンジをテーマにしたお話の中でも、ツアーの立ち上げから実施に至るまでのプロセスを中心にした内容でした。

localist20254_10.jpg

リアルな体験が語られ、興味深そうに聞き入っていたネクストローカリストは
「何かを好きになれる熱量がすごいです!」
「楽しんでやり通せることが大成功なんだと思いました」
などと感想を共有していました。

localist20254_11.jpg

この企画を最初の一歩として、今後さらに進化させていきたいとハルさん。聖地でアニメを追体験できるXRVRをバスツアーの中に組み込めたら、などと今後の展望も抱いているようです。

「まつりプロジェクト」という新しい「しくみ」づくり

次にネクストローカリスト・森一真さんのお話です。
大学で、佐賀の地域医療の活性化へ貢献するための活動に取り組む部活の部長を務める学生の森さん。「医療は病院だけで完結するものではなく、地域での生活と地続き。本当の医療を知るためには、地域に出て、そこでの暮らしについて学ぶ必要がある」という大学の先生の言葉に影響を受け、傷病者や高齢者の社会的孤立について考えるようになりました。そんな中で、小学生の頃に、お祭りを通じて地域の人と仲良くなったという記憶がふと蘇った森さん。お祭りのように、多様な人がそれぞれの関わり方で自由に楽しむことができるイベントを実施し、社会的孤立の解消につなげたいという想いで「まつりプロジェクト」を立ち上げました。
「まつりプロジェクト」略して「まつプロ」を具体化するために、2ヶ月間、6回ほど打ち合わせを行い、2回のワークショップに合計約20人が参加。

localist20254_12.jpg

「まつプロ」には、「まつプロ」として「まつりプロポーザル・・・まつりの企画をする」「まつりプロフィール・・・そこに表れる人はどんな人?」「まつりプロセス・・・つくる道筋」「まつりプロジェクト・・・企画が立ち上がる」と4つの段階を大切にしているそうです。

localist20254_13.jpg

細川さんは、
「まつりを開催しようとしない、逆説的な発想での面白い取り組みです。まつプロという『お祭り企画会議』を、まつりが立ち上がるまでやり続けようとしているんです」と補足。

例えば、ワークショップに参加した県庁職員・古川さんからは、「犬散歩まつり」というアイデアも生まれました。

「毎日犬の散歩をしていますが、一人でも楽しい散歩をみんなで集まってできたら楽しそうだと思いました。犬を飼っていないけれど一緒に歩ける、後ろから歩いたり、それを眺めたりする人など。まつプロの目標でもある、多様な人が自由な関わり方をできる形のひとつになるのではないかと思っています」
と古川さん。

細川さんは、「五感主体で本能に刺さるということ、参加の形態が柔軟であること、火をみるようなあたたかさ、この3つがポイント。それに、その企画をみんなでイメージできたことです」と言います。

localist20254_14.jpg

なりきりカードで「あの人」視点に

ここからは、「まつプロ」をお試しで体験します。

localist20254_15.jpg

お題は「外国籍の方も日本人も文化を味わえるイベント・お祭り」を考えていくこと。まずはこれまでに印象的だったお祭りについて各テーブルで話し合います。お祭りに対する印象などについて2分間考えながら付箋紙に書いた後、意見を交わしました。

localist20254_16.jpg

「それぞれの民族衣装と日本のシティーポップを組み合わせたファッションショー」「それぞれの国の料理を一緒に食べ合う」「外国の人にも読みやすい『ひらがなの砂糖菓子』をつくる」などいろいろなアイデアが出ました。

さらに、なりきりカードを使い、引いたカードの当事者になりきって、30秒の自己紹介をします。「健康志向の女性」「社会人アスリート」「デザイナー志望」など、さまざまな立場が用意されていて、想像力が求められます。さらに、ペアワークで「普段はどうやって過ごしていますか?」「どんなことが好きですか?」などの質疑応答を繰り返し、カードの当事者の設定を深掘り。解像度を高めていきます。

localist20254_17.jpg

その後、なりきりカードの当事者の目線で、先ほど出たアイデアを改めて見直し、フィードバックを行います。たとえば「車いす利用者」のカードを引いた人は、「自転車のイベントというアイデアが出ていたが、自分は参加できない。でも長くその地域に住んでいるから、その地域の話はできる」という風に振り返ります。

localist20254_18.jpg

「フィードバックで出た課題をクリアできるようなアイデアをさらに考えてください」と細川さん。

それぞれの立場から考えた意見を元に、イベントをブラッシュアップ!立場の切り替えをきっかけに、多様な意見が自然と生まれていました。

localist20254_19.jpg

最後に各テーブルの4人が満足する「おまつり」をゴールとしてまとめました。どの立場にとっても参加しやすい企画を考えます。

localist20254_20.jpg

「逆ハロウィンまちあるき」なるイベントを提案したネクストローカリストも。これは、街をウォーキングしながら子どもたちが地域の人たちの家に遊びに行って、お菓子を配る側になるという案です。訪問された側も謎解きゲームのヒントなどお楽しみを用意。多くの世代が楽しめるこのアイデアは、車いす利用者であるという視点から生まれたものです。  

localist20254_21.jpg

それを聞いて、「ベトナムのお菓子など食感も違っていておいしいから、さらに国際色を取り入れたハロウィンができるかも」

などさらに新しい意見も生まれていました。

localist20254_22.jpg

「やりたい」の種を育てて、一緒に楽しみたい人が自然と集まる仕掛けを

最後に細川さんは、
「この企画カフェでは実際にまつりをやるまでには至らなくていいんです。でも、『やりたい』の種が少しずつ出たのではと思います。

localist20254_23.jpg

僕の"集客をやめませんか?"という提案は、『"集客をしなきゃ"と思うのをやめませんか』ということです。 "やりたい" "クリエイティブにこだわりたい"など湧き上がる気持ちがあって、今日のように、そこにいる皆がやりたいと思えばそこがスタートライン。集客は不要。一緒に楽しみたいと思う人がいれば、一緒にやりませんか?と声をかけてみること。

企画について誰かと話した時、変化していくプロセスに入っていきます。まずは言ってみることから始めていくのはいかがでしょうか?こういう小さな仕掛けが始まっていくといいと願っています」
と話しました。

localist20254_24.jpg

「地域で何かを始めるにあたり、『やりたい』『楽しそう』という直感から来ると、一瞬にしてそのステップへと移れる」というメッセージが強く心に残りました。

参加者の方は、
「今日のネクストローカリストの皆さんはお話を引き出すのが上手で、とても充実した時間でした。ひたすら企画出しますっていうチームもできそう」
「わたしたちのテーブルは『音楽』と『食べ物』と『闘い』というテーマをもとにイベントを考え、なりきりカードのおかげで、強制的に『自分ではない』ツールを持たされることが新鮮でした」
などと感想を述べていました。

localist20254_25.jpg

皆が話すチャンスがあることで、穏やかな充実した時間が生まれます。集客について深く悩む前に、スピード感を持ちながらアイデアを重ねて深めていくプロセスに共感しました。

localist20254_29.png

(文章・写真)髙橋香歩

EDITORS SAGA編集部

SAGAローカリスト2025

「やりたい」が「できる」に変わる地域へ。 佐賀県には、「やりたいこと」を追い求め、周りの人たちを巻き込みながらカタチにしている『...

このEDITORの他の記事を見る

ページの先頭に戻る