佐賀市と唐津市。同じ佐賀県内でも、それぞれに異なる魅力と個性が息づくまちです。
駅周辺から少し足をのばして歩いてみると、人やお店、まちの空気に触れるなかで、思わず立ち止まりたくなる出会いがありました。
この連載では、全5回にわたり佐賀県内の商店街で働く「人」にスポットライトを当てて紹介していきます。5回目は佐賀と唐津です。
読み終わるころには、きっと「会いに行きたい!」と思うはず。
人に惹かれて、気づけばお気に入りの店が見つかる。そんな出会いが、あなたを待っています。
まずは、佐賀編から!
佐賀編
1.陶器たて石

最初にやってきたのは、佐賀駅・えきマチ1丁目にある、陶器たて石。
実は創業は大正15年。佐賀駅が現在の姿になるずっと前、かつては佐賀市の中心地・白山に店を構えていたそうです。有田にゆかりのある先代が「佐賀市でも素晴らしい焼き物を手に取れるように」との想いで始めたのがきっかけ。100年の時を経て、その想いは今もしっかりと受け継がれています。
現在は駅直結という立地もあり、お土産を探す海外の方から、SAGAアリーナのイベントで訪れた日本全国の方まで、多くの人々がここで「佐賀の焼き物」に出会うといいます。
お店の入り口には日常使いしやすい価格の食器も並び、「ちょっと覗いてみようかな」と気軽に立ち寄れるのも大きな魅力。
子ども用の可愛らしい器から、グッドデザイン賞に輝く名作まで。種類豊富な品々に囲まれていると、ついつい時間を忘れて長居してしまうお店です。

| 店舗名 | 陶器たて石 |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県佐賀市駅前中央1丁目11-20 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜20:00 |
| 定休日 | ─ |
| 電話番号 | 0952-26-9320 |
| 公式instagram | @touki_tateish |
2.佐賀之書店

次に訪れたのは佐賀駅・えきマチ1丁目にある、佐賀之書店。ここには筋金入りの本好きな店長がいるとのこと。
さっそく話を聞いてみると、なかでもホラーへの情熱はかなりのもの。好きすぎるあまり、自ら出版社へDMを送って熱い想いを伝えたというエピソードまであるくらいです。
その想いは届き、年末恒例のムック「このホラーがすごい!」にも名を連ねることとなりました。まさに「ホラーの目利き」なのです。こちらの本屋さんでホラーのおすすめを尋ねれば、その人にぴったりの一冊を楽しそうに選んでくれます。
ただし本人いわく、感覚は少し独特らしく...。「そんなに怖くないですよ」とおすすめした本に「めちゃくちゃ怖かったです!」と感想が返ってくることもあるのだとか。

それもそのはず、店長は月に20〜30冊を読む読書家。幅広いジャンルに目を通しながら、とりわけホラーの世界を深く掘り下げています。
ホラーの魅力について尋ねると、「現実ではあり得ない怪異が詰まっているのが面白いんです。人間ドラマよりも、お化けや理不尽な怪奇現象そのものが大好きなんですよね」と、熱量たっぷりに語ってくれました。
もちろんホラーだけでなく、心温まる物語なども丁寧に紹介してくれる店長。次に読む一冊を探しているなら、店長に相談してみてはいかがでしょうか?

| 店舗名 | 佐賀之書店 |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県佐賀市駅前中央1丁目11-20 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜20:00 |
| 定休日 | なし |
| 電話番号 | 0952-97-4883 |
| 公式Instagram | @sagano_book |
3.ドリス

次にやってきたのは佐賀駅・えきマチ1丁目にある婦人服のお店、ドリス。
現在の場所でお店を構えて20年。お母さん自身は、なんと40年ものあいだ洋服に携わってきたベテランです。店頭に並ぶ服は、自ら福岡へ足を運び、一点一点その目で確かめて仕入れたこだわりの品ばかり。
「自分がいいと思って選んだ服を、お客さんが喜んで着てくださるのが嬉しかね!それがあるから続けられると」そう話すお母さんの言葉からは、服への愛情と仕事への誇りが伝わってきます。
ずらりと並んだ洋服の中から「おすすめはどれですか?」と聞いてみると、「ちょっと待ってね」と、お母さんとスタッフさんが作戦会議。

しばらくしてスタッフさんが一着を手に取り、「リーダー、これはどうですか?」と声をかけました。
思わず「リーダー?」と聞き返すと、「ようわからんけど、前からリーダーって呼ばれるとよ」お母さんはそう言って、楽しそうに笑います。
その何気ないやりとりから、お店のあたたかな空気が自然と伝わってきました。取材を終えようとしたその時、今度はお母さんから「あなた、この仕事は何年目? 楽しい?」と私たちにも興味津々。
思いがけない逆質問に、いつの間にか、取材班も心を開かれついつい談笑。
「お洋服を選んだ後にね、『あぁ、今日ここで話せてよかった』って笑顔で帰っていかれるお客さまも多いとよ」とお母さん。
買い物だけではなく、息抜きや気分転換の場所として、お母さんとの会話を楽しみに通う人がいるのも、なんだか納得です。"似合う一着"を探しながら、つい話し込んでしまう 。そんな時間もドリスの魅力のひとつです。

| 店舗名 | ドリス |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県佐賀市駅前中央1丁目11-20 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜20:00 |
| 定休日 | ─ |
| 電話番号 | 0952-29-3483 |
4.CENTRAL BEEF

次に立ち寄ったのは佐賀駅・サガハツ内にある牧場直営店、CENTRAL BEEF。白石町にある精肉店兼カフェ「TOMMY BEEF」の姉妹店として、サガハツの開業とともにオープンしたお店です。
まず目を引くのはそのセンス溢れるディスプレイ。ショーケースには、佐賀牛をはじめ自慢のお肉がずらりと並びますが、「ここ、本当にお肉屋さん?」と思わず見入ってしまうほど、まるでセレクトショップのような洗練された雰囲気が漂います。

話を聞いてみると実はこのお店のオーナーは、あの某有名雑貨店の元店長。レイアウトや見せ方へのこだわりは、その経験がしっかり活かされているのだそうです。この日はあいにくオーナーは不在でしたが、空間のつくり込みからも、そのセンスが伝わってきました。
さらに嬉しいのが、テイクアウトで楽しめるお弁当屋や、メンチカツやビフカツ、オリジナルドリンク。学校や仕事帰りの小腹を満たす、最高のお供になりそうです。
「おしゃれすぎる精肉店」、ぜひ覗いてみてください。

| 店舗名 | CENTRAL BEEF |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県佐賀市駅前中央1丁目11-20 (MAP) |
| 営業時間 | 10:30〜20:00 |
| 定休日 | ─ |
| 電話番号 | 0952-97-8977 |
佐賀での出会いや思いがけない発見に感動しつつ、次なる目的地、唐津へ。 そこではどんな人が待っているのでしょうか。期待に胸を膨らませて、いざ唐津へ出発です!
唐津編
1. 藤川蒲鉾

唐津の人なら知らない人はいない!そう言っても過言ではないのが、この魚ロッケで有名な藤川蒲鉾です。
1日2,000枚も売れる時もあるという、まさに地元民に愛され続けている味。店頭には魚ロッケだけでなくイカや、佐賀県産の玉ねぎを使った天ぷらも並び、どれも思わず手が伸びてしまいます。
魚ロッケについて話を聞いてみると、そのルーツは明治初期にさかのぼるのだそう。
当時、刺身には使われなかった魚を集めてすり身にし、まだ珍しかったカレー粉を混ぜて揚げたのが始まりなのだとか。現在は塩味も販売されていますが、こちらは約30年前に登場したもの。元祖はあくまでカレー味で、唐津では魚ロッケといえばカレー味が定番だと教えてくださいました。

ちなみに「魚ロッケ」という名前も、お客さんとの会話の中から生まれたそうです。もともとは"ハイカラ天"と呼ばれていたものが、「魚で作ったコロッケみたいだから魚ロッケでいいんじゃない?」というやり取りから定着したのだとか。
取材中も、お気に入りの味を求める地元のお客さんがご来店。1枚ずつでもOKなのも嬉しいポイント。
「食べる前に素焼きすると、外側が香ばしくなってさらに美味しくなりますよ」こういったやりとりが、さらにおいしさをひき立ててくれます。
夕飯のおかずやお酒のお供、居酒屋メニューとして、唐津の人にとっては当たり前の味であり、そんな地元の味を求めて、ふらっと立ち寄りたくなるお店です。

| 店舗名 | 藤川蒲鉾 |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県唐津市中町1859-1 (MAP) |
| 営業時間 | 8:00〜18:00 |
| 定休日 | 日曜 |
| 電話番号 | 0955-72-3745 |
| 公式サイト | https://fujikawakamaboko.jp/ |
2.唐津農園

唐津のまちをさらに歩いていると、「よく咲くスミレ」の文字が目に入りました。スミレを販売しているそのお店に、なんだか気になる空気を感じて立ち寄ってみることに。
迎えてくれたのは、穏やかな話し方が印象的なお父さん。スミレの特徴や育て方について丁寧に教えてくれ、その説明の端々から植物への深い愛情が伝わってきます。ふと店内を見ると、壁にはたくさんのミュージカルのポスター。

「ミュージカル、お好きなんですか?」と聞くと、お父さんは少し照れながら教えてくれました。
「劇団四季の唐津公演で、実行委員会の代表をしているんですよ」
学生時代から音楽やレコードが好きで、北九州まで足を運んでいたというお父さん。年齢を重ねてから縁があって観たミュージカルに魅了され、今ではその世界にどっぷりハマっているそうです。
「本当はもっと観に行きたいんですけどね」好きなことを語るその表情は、とても楽しそう。
「植物とミュージカル、どちらが好きですか?」と聞くと、「迷うなあ。どっちも好きですね。植物はちゃんと手入れをすれば応えてくれるし、ミュージカルは自分ではどうにもできない世界。憧れが強いですね」と笑いながら話してくれました。
気づけば植物以外の話で盛り上がる。そんな時間も、このお店ならではの楽しみ方かもしれません。

| 店舗名 | たね屋 唐津農園 |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県唐津市中町1513-2 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜17:00 |
| 定休日 | 年末年始・日曜 |
| 電話番号 | 0955-72-3589 |
| 公式Instagram | @karatsunouen |
3.バッグの小松屋

続いて、唐津市呉服町を歩いていると、ずらりと並んだランドセル。唐津っ子の成長を見守ってきたのが、バッグの小松屋です。
創業時は文具店として親しまれていましたが、ご主人のお祖父さまの代からカバン屋へと軸足を移し、現在ではランドセルを中心に扱うお店として、時代に合わせた歩みを続けています。
「どうしてランドセルをメインに?」
そう聞くと、ご主人は少し照れたように、でも嬉しそうに話してくれました。
「うちでランドセルを買ってくれた子が、学校帰りに『ただいま!』と顔を出してくれたり、『まだ綺麗に使ってるよ!』と見せに来てくれたりするんです。ランドセルが、この呉服町の入り口みたいな存在になれたらいいなと思ってランドセルの取り扱いを増やすことにしました」
その言葉から、ランドセルが単なる商品ではなく、街とのつながりそのものになっていることが伝わってきました。
実はご主人、かつては東京で全く別の仕事に就き、広い世界を見てこられた経歴の持ち主。外の世界を経験したからこそ、故郷・唐津の温かさや、伝統ある「唐津くんち」を愛する人々の情熱に改めて魅了され、家業と共に歩む道を選びました。

「唐津くんちのことや、この街を大事にしてきた人たちの姿を見ているうちに、帰って一緒にやりたいなって思ったんです」
そんなご主人の想いは、サービスの手厚さにも現れています。ここで扱うランドセルは、卒業までの6年間、無料で修理対応をしてくれるという安心のサポート体制。
ただ手渡して終わりではなく、6年間ずっと寄り添い続ける。それが、街の頼れるカバン屋さん『小松屋』の誠実なスタイルです。

| 店舗名 | バッグの小松屋 |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県唐津市呉服町1810 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜17:00 |
| 定休日 | ─ |
| 電話番号 | 0955-72-2994 |
| 公式Instagram | @bagkomatsuya |
4.ミノヤ

続いて、唐津市刀町にあるMinoya(ミノヤ)へ。
店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは壁一面を埋め尽くす色とりどりのボタン。その奥で優しく迎えてくれたのが、洋裁歴50年のお母さんです。
「お客様からはよく『すごい!』と驚かれますね。ありがたいことに、佐賀県外から足を運んでくださる方もいらっしゃいます。口コミで『ミノヤに行けば、探しているものが見つかるかもしれないよ』とご紹介いただけるのが、何よりの励みです」
穏やかな口調の中に、長年街の手仕事を支えてきた静かな誇りがにじみます。これほどまでに種類が豊富な理由を尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「昔はこの辺りも洋装店さんが多くて、それに合わせて色とりどりのファスナーを揃えていたんです。その名残ですね。色というのは本当に繊細なもの。生地にぴったり合うものをご提案したいと思っているうちに、自然とこの種類になっていました」
"なんとなく近い色"ではなく、その生地にとってきちんと合う色。お母さんが大切にしてきたその妥協のない積み重ねが、今の圧倒的な品揃えへと繋がっていると感じました。
毛糸や生地を使った手芸品の相談に丁寧に応じてくれるお母さん。
「初めての方なら、お子さんのバッグから挑戦してみるのがおすすめですよ」そんなふうに、手芸へのハードルをそっと下げてくれるところにも優しさを感じます。

実は「唐津くんち」との縁も深く、祭りで使われるお守り入れの制作も手がけています。紐の編み方や色の組み合わせ次第で、世界に一つだけの表情に仕上がるそうそうでう。
こちらのお店は、毛糸を使った手芸品の相談から、お祭りで使う品まで。誰もが安心して頼れる"手仕事の相談所"のような、あたたかな場所です。
手芸経験豊富なお母さんと、毛糸や作品づくりの話に花を咲かせてみませんか。

| 店舗名 | ミノヤ |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県唐津市刀町1512-2 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜18:00 |
| 定休日 | ─ |
| 電話番号 | 0955-74-3180 |
5.牟田金銀細工所

最後に訪れたのは、唐津市大名小路にある「牟田金銀細工所」。ジュエリーの修理やオーダーメイド制作を手がけるお店です。
この仕事はご主人のお祖父さまの代から続く家業。幼い頃から自然と「いつか自分も継ぐのかな」と思っていたといいます。高校卒業後はお父さまのもとで基礎を学び、さらに技術を磨くため福岡へ。その後、経験を積んで唐津へUターンされました。
店内には唐津くんちの写真。「唐津くんちがあるから帰ってきました」と穏やかに語る姿から、地元への深い愛着が伝わってきます。

細やかで繊細な作業にも一切妥協せず、丁寧に時間をかけるものづくり。「違う仕事を考えたことは?」という問いにも、「ないですね」ときっぱり答えます。「挫折しそうな時もありましたけど、やっぱりこの仕事。作れるようになると楽しいんです」と、まっすぐな想いをのぞかせてくれました。
寡黙ながらも、その手から生まれる確かな仕事ぶりが評判を呼び、東京から訪れるお客様もいるそうです。

| 店舗名 | 牟田金銀細工所 |
|---|---|
| 住所 | 佐賀県唐津市大名小路310-8 (MAP) |
| 営業時間 | 10:00〜19:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| 電話番号 | 090-9565-9164 |
さいごに

今回の佐賀・唐津のまち歩き特集はいかがでしたか?
好きなことをとことん突き詰めている人がいたり、長年この街を優しく見守り続けてきた人がいたり──。 佐賀の街にも、唐津の街にも、思いがけない素敵な出会いが溢れていました。
「何を買うか」だけでなく、店頭で交わす温かなやりとりこそが、お買い物の本当の醍醐味──。 今週末はぜひ、あなたも商店街へ、新しい出会いを探しに出かけてみませんか?
今回ご紹介したえきマチサガハツテナント会、(一社)Karatsu Culture Commissionの各店舗は、佐賀県が物価高騰対策を目的として実施している「佐賀県プレミアム付商品券・クーポン券発行支援事業」に参加しています。
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