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【佐賀のいいモノ】幻の焼き物が普段使いに。日常をちょっと特別にしてくれる煎茶碗 - MONO SAGA #2

EDITORS SAGA編集部・中島が県内を巡りながら"佐賀のいいモノ"を紹介していく連載企画「MONO SAGA」。

第二弾となる今回は、江戸時代からの歴史を持つ鍋島焼の窯元「鍋島虎仙窯」で見つけた青磁の茶器セットをご紹介。ふっくらと厚みのある釉薬が生み出すやわらかな艶と、使いやすさを兼ね備えたかわいらしいアイテムです。

そして取材の途中では、なんと大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」とも深いつながりのある窯元だという、思わぬ発見もありました!

今回見つけた"佐賀のいいモノ"はコレ!

鍋島虎仙窯の煎茶碗&茶托のセット。

やわらかな翡翠色が日常に馴染み、煎茶だけでなくコーヒーやスイーツにもぴったりな器。

幻のやきもの「鍋島焼」って?

今回訪れたのは、伊万里市の「大川内山」。石畳の坂道と煙突の景色が広がるこの地は、江戸時代、佐賀藩鍋島家の御用窯として最高品質の磁器を作っていた場所です。

ここで作られる「鍋島焼」は、かつて将軍家や大名に献上されるためだけに作られていた特別な器。つまり、一般の人が手に取ることはできなかった、まさに幻の磁器だったのです。
数百年を経て、今こうして私たちも手に取れるなんて、ちょっと感動です...!

300年以上の歴史ある"鍋島青磁"を受け継ぐ窯元へ

鍋島焼を受け継ぐ窯元「鍋島虎仙窯」を訪ねると、三代目・川副隆彦さんが出迎えてくれました。

「鍋島焼は大きく分けて『色鍋島』『鍋島染付』『鍋島青磁』の三種類あるんですよ。」と教えてくれる隆彦さん。なかでも、虎仙窯は青磁を得意とする窯元です。

翡翠のような美しさを放つ青磁の作陶は、「窯を潰す」とまで言われるほど難しい技術です。初代窯主・川副為雄さんは、その青磁を「多くの人が手に取れる価格で」と願い、長年研究に没頭。ついには量産できる形を生み出したのだそうです。

一般的な磁器に使う原石に比べ、青磁の原石は赤っぽい色味

(左)素焼きの器 (右)青磁釉をかけ焼き上げた器

現在は隆彦さんを中心に、数十年この窯で絵付けを続ける熟練の職人から、若手デザイナーまで、多様な視点を取り入れながらやきものづくりに取り組んでいます。

中川政七商店発売!超人気の万博キャラを発見

工房での見学中に思わず目を見張ったのが、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」。
奈良の老舗ブランド「中川政七商店」が、ミャクミャクと日本各地の工芸をコラボさせたオブジェを発売し話題を呼びましたが、なんと、その鍋島焼バージョンを手がけているのが、こちらの虎仙窯なんです。

ミャクミャク好きの私は、見た瞬間「かわいい〜!」と思わず声が出ちゃいました。

極細の筆で一つひとつの文様が描かれていきます

価格は一体55万円と高額ながら、販売開始直後から注文が殺到し、即完売するほどの人気商品!

「複雑な形だから途中で割れたり、くっついたりして大変でした」と隆彦さん。貴重な試作品たちも見せていただきました。

貴重なミャクミャクの試作品たち

伝統を身近に感じる、ちょっぴり特別な器たち

工房見学の後は、工房から車で10分ほどの大川内山にある虎仙窯のショップギャラリーを訪れました。

店内に入ると、普段使いできるマグカップやお皿から、美術品のような大皿まで並んでいました。器を手に取ると、思った以上に軽く、手にすっと馴染みます。そして、その繊細で緻密な文様や色合いに思わず見とれてしまいました...。

「僕たちが目指しているのは『美術的でありながら、日用品として成立するもの』なんです。高すぎても手が届かないし、安すぎると良さが伝わらない。その中間のラインを探っています。」と隆彦さん。

高すぎず安すぎない、けれど特別感のある──そんな"ちょっと背伸びして買える"価格帯は、うつわ初心者にもありがたい存在。だからこそ、食卓に取り入れやすく、いつまでも大事にしたくなりますよね。

手のひらサイズが可愛い!青磁の煎茶碗&茶托のセット

たくさんの素敵なアイテムが並ぶ中で私が心を奪われたのが、青磁の煎茶碗と茶托のセットです。

白と青磁のバイカラーデザインがおしゃれで、厚みのある釉薬はふっくらとした艶があり、どこか温かみを感じさせます。

しかも電子レンジや食洗機も使えるので、日常使いにもぴったり。茶渋も付きにくく、長く愛用できるのも嬉しいポイントです。このセットの茶托は小皿としても活躍します。ちょっとしたお菓子やおつまみを盛り付けるなど、使い方は自由自在

そこで今回は、秋のお月見に合わせて、うさぎ型のアイスクリームとお団子をのせてみました!

青磁の涼やかな色合いに白いアイスが映え、茶碗にすっぽり収まったうさぎの姿がかわいい...!
このお月見スイーツは、佐賀市の古民家カフェ「こねくり家」で楽しめる期間限定メニュー。10月〜11月の金曜の夕方だけ提供される特別なセットなので、ぜひこの美しい器とともに楽しんでくださいね。

佐賀の伝統を毎日の暮らしに

かつては、殿様のためだけに作られていた"特別な器"だった鍋島焼。その伝統を受け継ぎながら、「もっと身近に手に取ってほしい」という思いで生まれる虎仙窯の器は、特別感はありながらも日常に寄り添ってくれる存在でした。

佐賀には、まだまだ素敵な伝統工芸や手仕事が息づいています。これからも佐賀の"いいモノ"をお届けしていきますので、次回の「MONO SAGA」もお楽しみに!

お月見スイーツはここで楽しめます!

開催日時やメニューについては公式Instagramで確認、または店舗にお問い合わせください。

店舗名 鍋島虎仙窯
住所 佐賀県伊万里市大川内町乙1823-2
営業時間 10:00〜17:00
電話番号 0955-22-3095
公式サイト https://imari-kosengama.com/
地図

EDITORS SAGA編集部 中島

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