ふたばさんのOUR HOUSE～湘南から有田に移住してきて～（3）【佐賀移住】

灯す屋

2018.04.20

2017年冬。
高木ふたばさんはOUR HOUSEで震えていた。
初めて迎える有田の冬。
温暖な湘南から移住してきたふたばさんにとって、有田の冬は厳しすぎた。
しかも改修半ばの古民家。
思っていた以上に体に堪える。

はやく改修を進めて、OUR HOUSEをスタートさせなければ。
焦る気持ち。
でも...... 寒さで体力も気力もすっかり失われてしまっている。
広い家の一室にこもり、悶々と過ごす日々。

本当にここをみんなが集まる場所にすることができるのだろうか？
湘南に戻ることも一瞬頭をよぎるほど、気持ちも落ち込んだ。　　

冬のあいだは休憩しよう。
焦るのはやめて、有田の暮らしを楽しもう。

ふたばさんはそう考え、ゆったり構えることにした。
あたたかい季節がやってくれば、おのずと気持ちも持ち直すだろう。

そして2018年春。

OUR HOUSEの桜が咲いた。
庭全体を覆うほど見事な山桜。
満開の桜の下で、ふたばさんは今こそ動き出す時だと感じた。

さっそく改修作業にとりかかることに。

この春、有田に移住してきたDIYの達人ハッシーを迎え、改修作業をスタートさせた。

まずは2階の和室から。
OUR HOUSEに来てくれた人を泊めるための客室をつくる。

雨どいの掃除。
雨どいにつまった泥や木の葉を取り除いていく。

ボロボロのふすまと畳を撤去。

カビの入った古壁をスクレイパーで削っていく。

古壁を削ってみると、意外に下地はきれい。
壁紙を張るか、漆喰を塗るか、はたまたペンキを塗るか......
いろいろアイデアが湧いてくる。

初日はここまで。

いっぺんにたくさんの事はできないけれど、焦らず、ゆっくり。

こうして、ふたばさんのOUR HOUSEは再スタートを切った。

桜の季節も終わった4月某日。OUR HOUSEでささやかなパーティが開かれた。

ふたばさんの活動を応援する人たちが集まった。
アート、音楽、映画、やきもの、有田の町について...... 話は尽きない。
初対面であるにもかかわらず、同じ価値観の人たちがつながる。
こんなことをしたら有田が面白くなるんじゃない？
そんな話で盛り上がる。

ご飯を食べ、お酒を飲みながら、みんなで語らう。
宿泊あり、音楽ライブありのオープンスペース。
来てくれた人を癒したり、元気にしたりする場。
それがふたばさんが目指すOUR HOUSEのかたち。

まだまだ目標には遠いけれど、焦らず、ゆっくり。

ふたばさんの挑戦はこれからも続く。

これまでのストーリー

有田町地域おこし協力隊　上野菜穂子