集落へ人を呼ぶことから始まった絢子さんの活動は、少しずつ次の段階へ進んでいます。どれだけ多くの人に来てもらっても、草木が伸び、道が荒れ、風景が失われていけば、石体の魅力を伝え続けることはできません。そこで絢子さんが考えたのが、「整えることをイベントにする」という発想でした。

舞台のひとつが、不動の滝キャンプ場です。もともと公園として整備されていた場所を、小城市から借り受け、できるだけ大きく変えずに活用しています。地域の人からは「神様の場所やけん、いろいろ変えたらいかん」と言われたこともありました。だからこそ、そこにあるものを壊さず、手を入れながら使うことを大切にしています。

草を刈る。荒れた場所を整える。作業のあとには、みんなでご飯を食べる。福岡から来た人が、お金を払って草を刈り、「楽しかった」と帰っていく。その姿に、絢子さん自身も「これでいいんだ」と手応えを感じるようになりました。手入れは、本来なら大変なことです。けれど、誰かと一緒に汗をかき、終わったあとに同じ食卓を囲めば、その時間は楽しみにも変わります。石体を訪れる人は、ただ景色を見るだけではありません。自分の手を動かすことで、この場所に関わる人になっていきます。

大きな夢を見よう、この場所から。
里山づくりのイベントでは、山が荒れる要因のひとつでもある竹をテーマにした取り組みも行っています。竹を切り、竹チップで焼き芋をつくり、焚き火でカレーをつくる。竹筒でそうめん流しをする。厄介者に見えるものも、手を動かし、楽しみ方を見つけることで、人が集まる理由に変わっていきます。
活動を続ける中で、石体へ移住する人も生まれました。けれど、絢子さんは「住んでもらうこと」がゴールだとは考えていません。住んでからが、本当のはじまりです。新しく来た人には新しい暮らし方があり、受け入れる側にも戸惑いがあります。その間に立ち、思いを伝え、少しずつ関係をつないでいくことも、絢子さんの大切な役割になっています。

絢子さんは、石体の神様や風景を写真に残す"石体偏愛記録係"としても活動しています。山の水、道端の神様、季節の表情、そこに暮らす人の営み。見過ごされてしまいそうなものを見つめ直し、未来へ残していくことも、石体を守るための一歩です。

目標は「天山を世界遺産に」大きな夢のようでいて、その足元には、草を刈ること、道を歩くこと、人を迎えること、写真を撮ることがあります。石体の未来は、誰かひとりの力で守るものではありません。好きになった人が少しずつ関わり、手を動かし、また誰かを連れてくる。そのつながりの中で、石体の風景は未来へ続いていきます。

畑仕事から戻られたお父さんと。
プロフィール
大石絢子(おおいし あやこ)
福岡県出身。靴のデザインに携わった後、結婚を機に小城市石体地区へ移住。現在は農家民宿「いやしの宿ほのか」に関わりながら、デザイナー、石体偏愛記録係としても活動中。石体まつりや毎月の里山づくりイベントを通して、石体に人を迎え、風景を守る関係づくりに取り組む。移住者と住民の橋渡し役も担い、山や水、神様のある風景を未来へつなぐ。
SAGAローカリストアカデミー2026 概要
| 日時 | 2026年9月12日(土)13:00~17:00(予定)(受付開始 12:30~) |
|---|---|
| 場所 | 佐賀県庁 新館 地下1階・SAGACHIKA-サガチカ- (〒840-0041佐賀県佐賀市城内1丁目1-59) |
| 参加対象 | 50名(先着申し込み順) |
| 参加費 | 無料 |
| 参加ローカリスト | 入江航 / 大石絢子 / 久野裕子/ 山崎裕次郎 |
アカデミー終了後に、交流会も開催!
歴代ローカリストとも交流できるチャンス。 新たな人脈や面白いアイデアが生まれるかも?
(アカデミーと同会場で、アカデミー終了後に2時間程度開催予定)
※参加申し込みは公式LINE「SAGAローカリスト」の応募フォームからお願いします。
写真:合同会社Light gear 山本卓
取材・文:岡優一
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石体の暮らしの入り口、山の上の農家民宿。

