【2/11まで】祭りは地域の宝 巨大ランタンアート空間「宵の美術館 なまずの寝床」

【2/11まで】祭りは地域の宝 巨大ランタンアート空間「宵の美術館 なまずの寝床」

こんにちは!嬉野エディターの松本です。

寒~い冬に心がほっと温まるイベントのお知らせです!!!

第20回うれしのあったかまつり

嬉野市の冬の祭典「うれしのあったかまつり」が2020年1月25日から始まりました!

期間は2月11日までです。

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灯りのほかに、イベントやおいしい食べ物も楽しめます!

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「うれしのあったかまつり」と言えば、チラシにも写真が載っている「宵の美術館 なまずの寝床」が最近話題です。

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1月25日に開かれた「宵の美術館 なまずの寝床」オープニングセレモニーは、多くの人でにぎわっていました。

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今年は巨大な滝や、鯉、鶴など38体が加わり、合わせて430体を超えるランタンで作るアート空間が出来上がっています。

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ちなみに「うれしのあったかまつり」は、嬉野で毎年1月末から2月中旬まで開催されるている祭りです。

その始まりは2001年。寒い冬の時期に九州に観光客を呼び込もうと「冬の九州灯りの祭典」のひとつとしてスタートしました。

ureshinonamazu2020-34.jpg期間中は嬉野の町なかに和紙を使ったランタンが並び、観光客を温かく迎えます。

「宵の美術館 なまずの寝床」とは

「うれしのあったかまつり」は2020年で20回目。

「宵の美術館 なまずの寝床」は、長年続く「うれしのあったかまつり」をさらに盛り上げたいと行政と民間が協力し、2017年に新たに加わった企画なんです。

ureshinonamazu2020-54.jpg嬉野に伝わる「白なまず伝説」をモチーフに、延べ500名以上の嬉野市民が共同制作したランタンたち。

初日となる2017年1月28日、嬉野市体育館に並んだおよそ240体ランタンが一斉に点灯した瞬間のどよめきは今でも忘れられません。

ランタン作家・三上 真輝氏

「宵の美術館 なまずの寝床」の総指揮を務めるのはランタン作家・三上 真輝氏。

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三上 真輝さんは青森県五所川原生まれ、現在は福岡県にお住まいです。

三上さんの経歴についてはこちらの記事をご覧ください。

三上さんは「五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)」を80年ぶりに復活させた人物

五所川原立佞武多の最古の記録は明治時代までさかのぼります。その巨大な山車は豪商や地主の「力の象徴」でもあったと言われており、勇壮な姿は近隣の町からも見えていたとか。

しかし、大正時代以降は電線が張り巡らされるなど、生活の変化により巨大な山車の運航が困難になったうえ、戦後2度の大火により設計図が焼失。立佞武多は幻になります

三上さんは明治末期の立ねぷたの写真を見たことがきっかけで、祭り好きの仲間に声をかけ、制作期間100日で20mを超える立ねぷたの復元を行いました

初めは仕事をしながらランタン制作に取り組まれていましたが、15年ほど前からランタン作家に専念。

「作ることが好き。作品自体の完成はあるけれど、アイディア次第で無限に広がる。いつも悩みながら制作しているよ」と三上さん。

ランタンの魅力を日本全国に伝えたいと拠点を福岡に変え、現在に至ります。

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三上さんは福岡から嬉野に通って10年以上。きっかけは和多屋別荘 代表・小原 嘉元さんでした。和多屋別荘内には三上さんが作るランタンが飾られているんです(和多屋別荘HP)。

三上さんと小原さんの出会いについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

三上さんは第11回「うれしのあったかまつり」で巨大な面浮立やなまずのランタンを作るなど(リンク先はYouTube嬉野市行政放送)あったかまつりとの関わりはありましたが、ここまで大きな空間づくりは初めて。

小原さんらと宵の美術館に関わるメンバーと構想を練り、形にしていきます。

ランタン制作現場

ureshinonamazu2020-36.jpgランタンは現在使われていない体育館で作られています。

今回の作品は2019年11月から制作が始まりました。

ureshinonamazu2020-38.jpg三上さんが作るランタンの枠組みは「溶接してるの?」と聞かれますが針金と糸と、糸を留めるためのボンドだけなんです。

ureshinonamazu2020-35.jpg三上さんは「ランタン作りは上手下手ではなく、気持ちが大切」と語ります。

今は三上さんが主となりランタンを作りますが、あったかまつりは嬉野の祭り。

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この地に住む人が伝え続けるためには、その技術を「自分のものにしたい意識」が大切となります。

ureshinonamazu2020-40.jpgランタンに紙を貼っているのは奥さまの三上 修子さん。

修子さんも紙貼りの技術を厳しく指導されます。紙の向きを合わせる、ピンと引っ張りすぎないなど......

紙貼りの重要性は「灯りが着いた時の美しさ」に影響するからだそうです。

ureshinonamazu2020-39.jpg修子さんも立ねぷたの復元に携わっています。

「復元を始めた時、紙の貼り方は誰も知らないから自分たちで試行錯誤しながら身に着けた」という技術。

修子さんが貼った紙はふんわり丸みを帯びていて、とってもきれい。制作現場でも自身も作業をしながら指導にあたります。

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ここまでこだわりがあるからこそ、人を感動させる美しさにつながるのでしょうね。

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子どもたちの参加を大切に

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三上さんは、第1回からランタン制作に子どもたちの参加を大切にしています

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こちらの空間は入口から会場までをつなぐトンネル。蝋で絵を描いたのは、嬉野中学校・塩田中学校・嬉野高校の美術部たち

そして色を塗ったのは市内の幼稚園・保育園の園児、嬉野高校 社会福祉系列2,3年生・地域の方々です。

ureshinonamazu2020-47.jpg▲中学校美術部が蝋で絵を描いているところ

▼以下の写真は嬉野高校生の企画「嬉高ひだまりサロン」で色塗りをした時のもの。

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一色で仕上げる子もいれば、何色も使ってカラフルに仕上げる子どもも。

子どもは自分たちなりに考えるし、自分たちの感覚がある」と三上さん。

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ランタン制作に触れることで作品作りに興味をもち、その子どもの可能性が大きく広がるかもしれないとのこと。

こんなに小さなお子さんも、色塗りのお手伝いをしていましたよ。

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そしてこちらの箱ランタンは今回初の試み。嬉野市内の放課後児童クラブに通う子どもや指導員が作りました。

その数、なんと250個

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会場の一角に展示されています!

祭りは地域の宝

三上さんは点灯式で次のようにお話されました。

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「今回は新たな試みとして、箱ランタンを作ってもらいました。ひとりひとりの参加が徐々に大きくなってきてます。ですが、まだ始まったばかりで、個人的にはこの祭りが地域の財産になるまで成長してほしいと思っています。そのためには、子どもたちが今から参加したり、興味をもったりすることが大切。

10年経てばこの子たちは大きく成長している。私たちはどこまで手助けができるのか。この子たちがランタンを作れるまで支えることができるような地域であってほしい。みなさんもそういう思いで外に発信していってください。自信をもって発信できる空間を作り上げていければと思っています」

ureshinonamazu2020-30.jpgこの祭りがこれから10年、20年もっと長く続くためには若い世代へのバトンタッチが不可欠です。地元に伝わる祭りを大人になって引き継ぐその時に「祭りに対する思い」が育っていることが今後に大きく影響してきます。

ureshinonamazu2020-29.jpgオープニングセレモニーには制作にかかわった子どもたちが参加し、三上さんと一緒に点灯式でカウントダウン。

その後、佐賀県多久市出身のシンガー・HAKUと嬉野市曲「ふるさとの空よ」を合唱。伴奏は旅館大村屋代表・北川 健太さんです。

【点灯式の様子】

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取材の中で三上さんは「祭りは地域の宝(財産)」になれるものだとお話されました。

昔から続く祭りが今でも残っているのは、その祭りが地域にとって必要だから。人がいないと祭りは続かない。みんなで大事に育てていって祭りが地域の宝になった時、みんながひとつになるんじゃないかな」

ureshinonamazu2020-57.jpg子どもたちにとってこの経験が嬉野で育った大切な思い出になり、大人になって嬉野を離れたとしても「嬉野ってこんな祭りがあるんだよ」という誇りになっていくのではないかと、感じた一日でした。

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おまけ:ランタンのお引越し

巨大なランタンはどうやって運ばれているのか?気になる方もいらっしゃいますよね。

ureshinonamazu2020-17.jpg実は、いくつかのパーツに分かれているランタン。

巨大なまずは制作現場から運び出し、嬉野市体育館に持って行って組み合わせています!

大人の男性数名で声を掛け合いながら運び出しているんです。

ureshinonamazu2020-16.jpg和紙はデリケートなので、走行スピードにも気を遣います。

ureshinonamazu2020-18.jpg運び込まれたランタンは、三上さんの指示で移動していきます。

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こちらは、市役所の担当者にランタンの微調整を任せているところ。

どうすればランタン空間が美しく見えるか、非常に細かい調整が数日間続きました。

ureshinonamazu2020-53.jpgこうやってランタン空間は作られているんです。

ureshinonamazu2020-24.jpg「活きがよくて、おいしそう」という感想もあがるほど「宵の美術館 なまずの寝床」の魚たちは元気に泳いでいます!

地域の人と作り上げた巨大ランタンアート空間を是非、ご覧ください。

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情報

イベント名

宵の美術館 なまずの寝床

期間 2020年1月25日~2月11日(祝・火)
会場

【嬉野市体育館】

住所:〒843-0301

   佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿甲2834番地

時間

平日 17時~22時 / 土日祝日 15時~22時

※最終受付は21時30分です

入場料

大人 500円

小中高校生 100円

幼児無料

駐車場について

会場すぐそばの「中央広場」というグランドをご利用ください。中央広場は無料駐車場です。

すぐ隣に有料の嬉野市営駐車場(嬉野市中央体育館前)があります。

有料市営駐車場をご利用の方は会場にお越しの際、駐車券をなまずの寝床会場内にご持参ください。駐車券は紛失されないようご注意ください。

宿泊者限定巡回バス

嬉野温泉旅館組合加盟の旅館・ホテルに当日ご宿泊の方に限り、無料の巡回バスをご利用いただけます。

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■宵の美術館 なまずの寝床ホームページ(音楽が流れます)

https://www.yoinobijutsukan.com/

■Facebookページ

https://www.facebook.com/namazunonedoko/

■Instagram

https://www.instagram.com/yoinobijutsukan/

SNSフォトコンテストも開催中

宵の美術館開催期間中に「なまずの寝床」で撮影した写真を「 #宵の美術館 」のハッシュタグをつけてInstagram、Twitter、Facebookで投稿してください。
■投稿期間
2020年1月25日(土)〜2月13日(水)

■当選者発表
後日、公式サイト及びFacebookページにて発表。

優秀賞には嬉野温泉旅館の宿泊券をプレゼントがあります。

会場内に流れる音楽

なまずが目覚め就寝するまでの1日を表現した曲は16分にも及びます。水の音、人の笑い声、さまざまな音で構成されていて聞くたびに新しい気づきがあります。

作曲はイギリス出身で嬉野町吉田在住の音楽クリエイター マーク・ファーリー(Marc Farey)さん。サウンドデザイナーとしてロンドンBBC Radioで10年以上勤めた後、独立。2015年に嬉野へ移住。ラジオ、テレビ、ゲームなどに楽曲を提供しています。

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ローカルフォトグラファー

松本 聡子

1984年 鹿島市出身、嬉野市在住。図書館司書、CATV、嬉野市の情報発信業務を経て「ローカルフォトグラファー」の活動を志す。主な...

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