2018年から始まり、これまで51名の個性豊かなローカリストを輩出してきた『SAGAローカリストアカデミー』。
今年度も9月にアカデミーが開講し、新たな出会いが生まれました。
その後、各ローカリストのチームに分かれて各地で「お試し地域づくり活動」を実践。
「自分が本当にやりたいことって何だろう?」
「この町のために、何かできることはないかな」
ネクストローカリスト(参加者)たちは、そんな純粋な問いを抱えながら、数カ月かけて走り続けました。
そして、それらすべての活動の集大成となる今年度最後のイベント「SAGAローカリスト交流会2025」が、2月11日、佐賀県庁地下のSAGACHIKAで開催されました。
今回は、笑いと熱気に包まれた会場の様子と、4名のローカリストがネクストローカリストと共に駆け抜けた「お試し地域づくり活動」の報告、そして地域づくりに関わる仲間同士の新たなつながりが生まれていく模様をレポートします。
ネクストローカリストたちが集結

会場のSAGACHIKAに足を踏み入れると、そこには開会前から活気ある声が響いていました。集まったのは、今年度のローカリスト4名と、地域づくりに高い関心を持つ約20名のネクストローカリストたち。
イベントの進行を務めるのは、お笑いコンビ『メガモッツ』の中川どっぺるさんです。

軽快なトークと絶妙なツッコミで、会場はさらに和気あいあいとした雰囲気に。
まずは主催者を代表して、佐賀県さが創生推進課の永田課長からご挨拶。

「このアカデミーを通じて、毎年多くの新しい挑戦が生まれています。今日も皆さんの活動報告を聞くのが楽しみです」との言葉に、会場の期待感が高まりました。
【第1部】お試し地域づくり活動報告会
第1部では、今年度ローカリスト4名がネクストローカリストと共に実施した「お試し地域づくり活動」の成果を発表しました。

限られた時間の中で、それぞれの想いが詰まったスライドと共に、濃密な活動内容が語られていきます。
自分自身の「やりたい」を原動力に(細川 亮さん)
まず登壇したのは、自分の「やりたい」を可視化する「みえるか企画」代表の細川亮さんです。

細川さんは、ネクストローカリストの「本心と向き合うこと」を大切にした活動を展開してきました。
報告の中で印象的だったのは、その活動哲学です。
「人がやりたいことを語るとき、『誰かのために』という理由だと、その『やりたい』が本心に感じられないことが多い。結局は、自分自身が心からやりたいことを叶えるときにこそ、人は本気で夢中になれるんです」
この言葉に、同じローカリストの塘さなえさんも「私も故郷を守るためにと話してきたけど、結局は自分のやりたいことだけをやっていたんだと今やっと気づきました!(笑)」と反応。会場は一気に、本音で語り合える温かい雰囲気に包まれました。

参加者からも、「自分の『好き』を起点にしていいんだと勇気をもらいました」という声が上がっていました。
命をいただく、里山との「共生」を学ぶ(塘 さなえさん)
二人目は、わな猟師でありジビエブランド『たまきはる』の代表も務める塘(つつみ)さなえさん。

塘さんは、富士町を舞台に「わなDE狩猟!野草フェス」を開催。
実際に古湯のまちを歩きながら、イチジクやサザンカ、クズの葉などの里山の植物に足を止め、山野草の知識を学びました。
さらに、火をおこすところから準備するジビエバーベキューや、希望者には実際の猟場の見学も行われました。
自然の循環を五感で学ぶ体験を経て、ネクストローカリストからは「実際に触れることが大事だと感じた。次世代に向けても、こういう取り組みを知る機会を持って欲しい」との感想が寄せられました。

自然が近い佐賀であっても、意識しなければ気づけない「自然を守る・共に生きる」ことの意味を、自身の足で体験してもらう素晴らしい活動でした。
島の魅力を「自分の足」で見つける(井川 えりなさん)
三人目は、加唐島(かからしま)で『Selfish 加唐島Café』を経営する井川えりなさん。

「ねこの島道」と題した活動では、ネクストローカリストが船で加唐島へ渡り、島の歴史や食、そして名物である猫との触れ合いを楽しみました。
井川さんは、ネクストローカリストにミッションを与え、自分たちで島の魅力を見つけて地図を完成させるという仕掛けを用意。

ネクストローカリストからは「島の方々と交流しながら、自分たちの足で魅力を見つけ、やりたいことと掛け合わせて想像するのが本当に楽しかった」という声が上がり、島の未来を一緒に描く仲間づくりの第一歩となりました。
燃え続ける「仕組み」をつくる(公門 寛稀さん)
最後は、PublicGate合同会社代表の公門寛稀さん。

公門さんは「地域づくりと焚き火はよく似ている」という独自の視点から、大町町での活動を報告しました。
お試し地域づくり活動では、満潮時の潮流を利用して六角川を遡る希少な「カヤック体験」や、炭鉱時代の面影を残すボタ山や旧街道の「まち歩き」を開催。参加したネクストローカリストたちは、実体験を通して町の歴史や課題を肌で感じました。
さらに、これらの体験を通して「大町町をもっと楽しんでほしい」と考えたネクストローカリストたちが自ら、焚き火の音を楽しむイベント「オトタキ」を企画・開催しました。

ネクストローカリストからは「まちの魅力を体感したことで、それを守るために自分には何ができるのか等身大で考えることができた。活動のなかでデザインにも挑戦してみてワクワクしました」という声があがりました。
それに対して公門さんは、「燃え続ける地域には、火を起こす人だけでなく、火を絶やさないよう薪をくべる役割の人がいる」 という言葉を投げかけ、大町町を知らなかったネクストローカリストが起こしてくれた"火"を燃やし続けるために、活動を継続していきたいと話しました。
【第2部】挑戦するものたちがつながる歓談交流会
第2部は、お待ちかねの歓談交流会です。

乾杯の音頭を取ったのは、ローカリストアカデミー事業担当の古川さん。
「発表された取り組みやこの後の交流をきっかけに、佐賀でもっと面白いことが起きてほしい。ぜひ今日は、佐賀の地域づくりに関わる、そしてこれから関わっていきたいという想いを持つ仲間たちとの交流を楽しんでください!」という熱い想いと共に、会場は一気に賑やかな交流の場へと色を変えました。
ローカリストの"味"が詰まった彩り豊かな料理
会場を彩ったのは、歴代ローカリストたちの食材をふんだんに使ったコラボメニューの数々です。


・2023年度ローカリスト・山本卓さんが提供するタコスに、塘さんが捕獲した肉を合わせた「コラボタコス」
・2023年度・奥正好さんから提供された「そばの実プリン」と「蕎麦の実ガトーショコラ」
・2021年度・北原良太さんのお米を使い、フランス料理店『シプレ』の古賀真人さんが調理した「焼きリゾット」
・2018年度・本間昭久さんの本間農園の卵を使い、古賀さんが焼き上げた「季節の野菜キッシュ」
などが並びました。
調理を担当した古賀さんは、今年のアカデミーに参加したネクストローカリストでもあります。ローカリストが丹精込めて育てた素材や自慢のメニューに、新たな仲間のエッセンスが加わり、まさに佐賀の自発の地域づくりのつながりが一皿に凝縮された贅沢なラインナップです。
交流会では、今年度の活動を終えたばかりのローカリスト4名と、歴代のローカリスト、そしてこれから何かを始めたいネクストローカリストたちが入り混じり、あちこちで交流の輪ができていました。


「あの時の活動、実はこう感じていたんです」
「実は私もこんなことをやってみたくて......」
など、今年度の振り返りだけでなく、来年度に向けたこれからの展望が熱く語られていました。

この場所で交わされた名刺の一枚、一言の会話が、明日からの佐賀を面白くする新たな"火種"になる。
そんな確信を得るほど、会場は最後まで温かい雰囲気に包まれていました。
最後は、さが創生推進課の吉村企画主幹による閉会の挨拶と、全員での記念撮影でイベントは幕を閉じました。
最後に
SAGAローカリストアカデミー2025、今年度も、たくさんの「やりたい」が「できる」に変わる瞬間に立ち会うことができました。
ローカリストの皆さんに共通しているのは、子どものような純粋なワクワクと、それを形にするしなやかな強さです。
自分自身の「やりたい」を最大化させるために、地域の歴史や自然といった素材をどう活かすか。
その「掛け合わせ」によって自分の人生を楽しみ、それが結果として大切な人や地域を豊かにしていく。
それこそが、真の"ローカリスト"の姿なのかもしれません。

今年度の公式プログラムはこれで終了ですが、彼らの活動が止まるわけではありません。むしろ、ここからが本当のスタート。
今回生まれたつながりが、また新たな地域づくり活動を生み出し、佐賀の地域を豊かにしていくことでしょう。
佐賀の未来を創るものたちの挑戦は、これからも続いていきます。
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